米国の雇用統計の結果が予想より良く、「米国経済の底堅い回復」という楽観的な反応、ついにNYダウもリーマン・ショック前の水準に達するなど、先週末の米国市場は明るいニュースが目立ちました。

メディアを通して出される市場関係者のコメントもかなり強気に傾いていて、一抹の不安を感じます。
「もうはまだなり、まだはもうなり」
と言いますが、皆が「まだまだ行くぞ!」と強気になっているときは危ないというのはご承知の通り。
「万人が万人ながら強気なら、たわけになりて米を売るべし(アホウになって売りのタネまけ)」
もちろん、急いで売りに走れと言いたいわけではありません。周囲が過熱気味と感じ始めたら、冷静に判断していきたいものですね。

さて、本題です。
「デリバティブ(金融派生商品)」と聞くと、難しくて危険なものであると思っていらっしゃいませんか?
確かに複雑な仕組みを幾重にも組み合わせ組成した商品もあるのですが、先日FP向けの雑誌に「デリバティブ=リスクが高く危険⇒買うべきでない(?!)」という展開の記事が出ているのを見て少し驚きました。

世の中に「金融詐欺」事件・・・「元本保証」で「絶対」「確実に」「年率10%以上保証」といった文言にお年寄りなどがだまされる・・・という話をよくききます。しかし、デリバティブ商品とはこうした詐欺とは全く異なる、全うな金融商品で、ちゃんと金融理論があって、ある程度のリスクを負うことにより好利回りを狙った商品です。つまり、相応のリスクに対する相応のリターンということですね。

リスクにはご存じの通り、価格変動リスク、為替変動リスク、信用リスク等様々な種類がありますが、私たちが通常取引するよく知っている商品であっても、そのリスクは一つのみということは少なく、いくつかの要因が組み合わさっているものです。

デリバティブを組み入れた「仕組」商品であっても、そこにどんな仕組があるのかを理解し、そのリスクを承知した上で見れば相応のリターンを得るチャンスのある商品だということがわかります。

個人投資家向けの商品の場合、多くは「オプション」を使った仕組ものが多いです。
オプション取引というのは「権利」の取引で、権利料の受け渡しがあり、一般より高い利率の「仕組預金」や「仕組債」では、大抵の場合このオプションを投資家が売っている仕組となっていて、そのオプション料が上乗せ金利となっているのです。

当然「権利」を売っているので、買い手にとって有利な条件(さまざまな条件や要件が設定されています)になれば権利は行使され、すなわち売り手(投資家)にとってはマイナスの経済効果となります。
仕組の裏にある「権利」→「条件「を理解し、その経済状況になりうるかどうかを予測することが買い手である投資家には求められるのです。

ネット証券を利用されている皆さんであれば、投資は自己責任であるということをよくご存じだと思いますが、それだけに商品(仕組み)についてやリスクについては十分に理解をした上で取引をしていきたいものですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー