一般に投資をすることによって得られる収益はキャピタルゲインとインカムゲインの二つに分けられます。
キャピタルゲインは、価格変動のある商品の売買によって得られる利益です。安く買って高く売れば得られる利益ですね。
インカムゲインは、ある資産を保有することによって継続的に得られる利益です。
債券や預貯金の利金や利息はその代表ですが、価格変動のある商品でもインカムゲインはあります。FX投資ではスワップポイント、株式投資では配当などです。

キャピタルゲインは大きな利益になることもありますが、値動きによってはマイナス利益、=損失にもなる場合があり、その分リスクが高いのです。

インカムゲインは定期的にコツコツと利益を重ねるものですので、マイナスにはならなくともその利幅は大きくありませんし、特に世界的低金利の現在、お金がなかなか増えてくれません。

リスク分散、収益源の分散という点からも、バランスよくキャピタルゲイン・インカムゲインを得られるようにしたいところです。
そこで既発債を検討してみてはいかがでしょうか?

そもそも債券は安全資産・インカムゲインの代名詞ですが、世界的低金利のため新興国通貨建て債などを除いて高い利金は期待しにくいのが現実ですよね。
また、欧州信用不安により、本来「低リスク」であるはずの先進国国債ですら、その信用度が落ちてきています。
そんなときに債券?と思われるでしょうか。
詳しくご紹介したいと思います。

債券を満期前の途中で売買するのが既発債です。

債券は原則(ゼロクーポン債などを除いて)100で買って、満期に100で戻ってくる、その間決まったクーポン(利金)を受け取れるという商品です。
債券は価格が下がると金利が上がる、つまり値下がりすると「利回り」が高くなります。そもそものクーポンが低くても、値段が下がったところ(100以下を「アンダーパー」といいます)を買って満期まで保有すれば「償還差益」(キャピタルゲイン)が得られ、その結果、クーポンより高い「利回り」となります。
もちろん、保有期間はクーポンをインカムゲインとして受け取れます。
ただし、値段が下がるということは信用が下がる=デフォルトの可能性が高まるということです。無事満期まで迎えられるかというリスクが高まることを意味しますので要注意です。
ギリシャ国債などユーロ建てでありながら200%以上(期間より異なります)といった信じられない利回りです。

また、外国通貨建ての場合、為替リスクもあります。
満期までにその通貨価値が上昇すれば、為替差益も得られますが、逆の場合は為替差損を被ることになります。

例えば、昨年来中国人民元は対ドルでは最高値を更新しています。ですが人民元の対円レートはドル/円の影響が大きいので、今後のドル円の方向次第ともいえます。
これ以上円高ドル安は進みにくいと考えるのであれば、人民元と円の為替差益も期待できるかもしれません。

インカムゲインのみというイメージの強い債券ですが、キャピタルゲインも狙えるものです。投資先の一つとして考えてみてはいかがですか?

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員