サラリーマンの場合、住宅ローンや扶養関連、加入保険関連の書類一式を提出すれば自動的に年末調整をしてもらえますので、暮れになると少々面倒な書類の提出がある・・・という程度の認識で、税金のことはあまり意識していない方もいらっしゃるかもしれませんね。
税金といえば、現在、消費税増税が大きな課題となっています。
日々の私たちの生活にも直接関わってくるだけに世間の関心も高いものです。でも、所得税も私たちの懐から出て行く点では同様です。税金全般について意識と知識を高めていきたいものですね。
今年公布・施行された平成23年度税制改正は、FX投資家にとっては大きな意味をもちます。
現在、FX(外国為替証拠金取引)には店頭FX(FX会社との相対取引)と取引所FX(「大証FX」など)という2種類の取引が存在します。
税制は公正かつ公平であるべきであるのに、同じ為替市場で通貨ペアの売買をするという金融商品でありながら(取引時間や手数料の設定などは異なります)、この二者では税制が異なっています。
店頭FXは総合課税の雑所得、取引所FXは申告分離課税の雑所得という区分になっています。
総合課税は超過累進課税といって、所得が多くなると税額も段階的に多くなるように設定(15%~50% :所得税・住民税合計)されています。それに対し、取引所FXの申告分離課税は利益がいくらでも一律20%(所得税・住民税合計)です。
給与収入等で課税総所得の多い人、FX取引で利益がたくさん出た人は、店頭FXの方が税率は高くなりますね。
また、取引所FXでは先物・オプション取引等他の取引所先物取引等との損益通算が可能、損失額は翌年から3年間渡り繰越控除が可能なのに対し、店頭FXは他の雑所得(CFD取引、公的年金など)との損益通算は可能ですが、繰越控除はありません。
以前から関係各所から店頭FXと取引所FXの税制が異なる点について、公平ではないと指摘されていましたが、今回の改正で2012年1月1日以降に行う取引について、この二者を一本化、店頭FXも取引所FX同様、一律20%の申告分離課税になり、同時に取引所取引にしか認められていなかった「損失額の3年間の繰越控除」などが、店頭FXにも利用できるようになります。
また、取引所取引、店頭取引の全ての商品の間で損益通算ができるようになります。様々な金融商品に幅広く投資されている方はぜひ有効に活用したいものですね。
こうした税制改正によって、FX取引はこれまで以上に公平かつ使いやすくなり、また幅広い金融商品に投資をすることがメリットとなってきます。
投資家が税制に振り回されずに投資商品を選択できることは大切ですよね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー