先週はようやく米国に弱いながらも「景気回復」の日が差してきたという感じのニュースが相次ぎましたね。欧州については引き続き厳しい状況ですが...。
世界の2大経済圏となる欧州・米国が共に不安を抱える状況は、日本はもちろん、世界経済全体にとって非常に厳しいものです。
米国だけでも回復の足取りを見せてくれると投資家心理そのものが変わってきますね。

ただ、米国も順調に力強い回復というわけではなく、まだまだ不安要素はありますので、為替相場においてドルが円に対して強く(=円安方向)なっていくという裏付けにはなりにくいと言えます。

個人的には現在の為替水準は、長期を見据えれば外貨建て投資をする良いチャンスだとも思うのですが、現時点ではまだ方向性がはっきりせず為替差損を被る可能性も大きいため、外国の株式や債券などへの投資に抵抗を感じる方もいらっしゃることでしょう。
ボーナスの使い道についてのあるアンケートでは、将来に対する不安もあって「貯蓄」を選ぶ人が多いとのことです。

「貯蓄」と言えば、通常は預貯金を思い浮かべるでしょうか。
元本の安全性が高く、金利収入を得るもの・・・という意味では債券も同様の効果があります。満期と利率が決まっている点は、定期預金に近いと言えますね。

債券の利率は一般の定期預金より高いことが多いのは、債券には発行者の信用リスクがあるからです。
信用リスクというのは保有中および償還時の利金や元本が無事に戻ってこない=債務不履行(デフォルト)を起こす、その可能性です。

投資の世界では国債は「リスク・フリー(リスク無し)」とされています。発行体が国の場合、信用リスクはないものとされてきたのですが、実際に欧州債務危機を目の前に見て、国=信用リスクゼロとは思えないですよね。
ただし、たとえリスクがゼロでなくとも、債券の満期まで発行体が無事でいてくれさえすれば金利の確定収入をもたらしてくれることになります。

債券は途中で売却しようとすれば、市場の債券相場で価格が決まりますので、元本の保証はなくなります。
個人投資家の場合、債券投資は原則的には満期まで保有することを前提にするほうが安全です。そして満期までの期間が短ければ短いほど、その信用リスクは少なくなるということですね。

さて、個人投資家が買いやすい国債と言えば、個人向け国債です。
信用リスクについては上記の通りで、その利率水準は一部のネット系銀行を除いて定期預金より高くなっています。

今年度内の個人向け国債は「個人向け復興国債」として発行されるため、その資金は東日本大震災の復興のために用いられると資金使途が明確になっている点はこれまでの個人向け国債と異なります。

震災復興のために何かしたい、でも懐は厳しい、ボーナスは貯蓄・・・という方でも、日本という国の信用リスクを取れるのであれば、復興に貢献できる債券投資を考えてみるのもよいかもしれませんね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー