先週の日経新聞の記事にあった見出しです。ご覧になった方も多いかもしれませんね。主にFXを行ってきた個人投資家がCFD、中でも原油先物に触手を伸ばしてきているという内容でした。

FXで個人投資家が好む通貨ペアは豪ドル円などの比較的高金利の資源国通貨が多いのですが、ご存じのようにここ最近のボラティリティの高い市場環境において、個人投資家はどうしても市場に飲み込まれて、負けてしまう場面が多かったと思います。

欧州財務不安の煽りを受け、資源国通貨は「リスク回避」の流れで売られやすくなっていますので、金利差を狙って資源国通貨ロングをしがちな方にとっては非常に厳しい相場だといえます。

FX投資だけではなかなか巻き返しができないと判断した人の中には、FXに似た投資手法でありながら、投資対象が異なる商品に興味をもったということなのでしょう。

今さらですが・・・、
FXは証拠金を差し入れて、レバレッジを効かすことで、その何倍もの資金を使って通貨の売買をし、決済は反対取引を行う差金決済をするという金融商品です。
株式投資や投資信託投資とは異なる手法であるため、それらの投資経験のある方でも、初めてFX投資するときには、そのルールや手法を覚えることから始める必要があります。

前述のCFDという商品はその仕組みがFXにとてもよく似ているものです。CFDの投資対象は通貨ではなく、世界各国の株価指数、農産物先物、商品(エネルギー・貴金属)、債券先物など多種多様です。聞きなれないかもしれませんが、オプション(バイナリーオプション)もその対象となっています。

対象商品の一覧を見ると、経験のない商品だらけで抵抗感や難しさを感じるかもしれませんが、実はFX経験者にとっては、手法が近いため取引そのものは違和感なく始めることができると思います。

日経新聞の記事では、原油には実需の影響が大きく、安定的に上昇してきたことを強調するような内容になっていましたが、この点については注意が必要です。

まず、豪ドルなどの資源国通貨は確かにリスク回避の流れで売られることがありますが、それは商品も同様だということ。
そして重要なのは、為替市場の方が商品市場よりずっと市場規模が大きく、流通量も多いということです。これは、何かあったときの値動きの大きさ・早さ(急騰・急落など)に影響するポイントで、もちろん流通量が大きい方が安定的な取引が行いやすいものです。
投資対象が異なるということはそうした市場背景も異なるのだということを十分に理解する必要がありますね。

ただ、自身の投資資産を一つの金融商品に限定しないことで、投資の幅や市場の見方が深まるだけでなく、リスク分散効果(これはやり方次第ですが)にもつながります。

どんな市場環境でもチャンスはありますので、ハイリスクになりすぎないよう、きちんとコントロールした上で挑戦してみるとよいですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー