金融資産を分類するときに、価格変動リスク等のリスクを持つ資産を「リスク資産」「投資型資産」などと呼び、その対比する資産は「安全資産」と言います。

「安全資産」は、証券用語解説によれば

・資産から得られる収益を確実に予測する事ができる資産

・収益の金額、支払時点の双方ともに確実な資産

とあります。
預貯金や債券はこの安全資産の代表とされています。
一般に債券は利払時点と利払額、償還金額と償還日が決まっていますね。
もし新規発行時に購入して償還まで保有し、保有中に何の問題も発生しなければ、たしかに安全で確実な商品と言えるでしょう。

ちなみに最近のニュースなどでは「安全資産」といえば「円」や「金」が挙げられることが多いですね。

ですが、それらは上記の用語解説にある「確実な収益」をもたらしてくれるわけではないので、金融資産の分類上の「安全資産」とは言えません。もちろん円は預金などにした時点で「安全資産」と分類されますが・・・。金は市場で変動しており収益は確定していませんので、本来は「リスク資産」に分類されることになります。

市場において変動が激しい「リスクの高い」商品に比べて、比較的安全性が高いとされ、逃避先に選択されることが多いため、慣習的に「安全」と呼ばれるようになっているのですね。

さて、分類上の「安全資産」に話を戻しましょう。

前述のような安全資産の中でも、国債は特に「無リスク資産」と呼ばれます。
「保有中に何の問題も発生しない」「無事償還」が当然のこととされ、他の債券あるような「信用リスク」について心配無用・・・ということなのでしょうか。

ここのところ、ずっと市場のテーマとなっている欧州不安や米国経済に対する懸念の根底には「国家に対する不安=ソブリンリスク」があります。

特にここ2週間くらいは、ギリシャ国債のデフォルトが現実味を帯び、イタリア国債の金利水準が危険水域といわれる7%代へと急騰(債券は価格が下がると金利が上がる商品です)するという、国債を保有することへの「リスク」に注目が集まっていますよね。

また、最大規模の流通量を誇る米国債も、その格付けが2011年8月にAAAからAA+(S&P)に一段階格下げとなり、いよいよ国債=無リスク資産とは言えない状況になってきています。
日本の国債はどうか・・・というと、格付けはAA-(S&P)、 Aa3(ムーディーズ)ですが、巨額な財政赤字があるのが現実で、相応のリスクはあると理解すべきと考えます。

自身のお金を「投資」する以上、どんな金融商品にも必ずなんらかのリスクがあり、
安全、確実の「無リスク」はないことをもう一度認識を新たにする必要がありますね。

より高いリターンを望むには、相応のリスクを取る必要があるのです。
リスクの内容を理解し、自身でそのリスクを負うことができると判断した上で、リスクの高い金融商品に投資していくことは、今のような超低金利の時代には大いに意味のあることと思います。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー