そろそろ雑誌でのボーナス特集も始まりますが、こうした取材で困るのは「おススメの金融商品を挙げてください」というもの。
雑誌の場合、取材から発売まで2カ月近くかかることもあり、読者が記事を読むまでの間で市場の状況が全く変わってしまうこともあります。

私はオススメしなければならないとき、「シンプルな商品で値動きの理由がわかりやすい」ということを基本にしています。

現在の市場は様々な要因で乱高下しやすい環境にありますので、相場関連の商品はどうしても大きく価格が変動、それも下落しがちです。
相場状況を見極め、その商品を保有し続けるかどうかを決めるときに、価格が下落した理由が明確であれば一時的なブレなのか、戻りにくい状況にあるのかの判断がしやすくなりますよね。

複雑な構造をもった商品、例えば様々な国、地域の株、債券などに数種類の投資をしているような商品だと、価格が大きく下落した場合、どの通貨、どの商品が主たる要因になって価格変動したのかが特定しにくく、特定できてもその部分だけ切り捨てるといったことはできません。

リスクヘッジまでパッケージになっている商品もありますが、自身の投資内容を把握したい、投資について学んでいきたいと思う方であれば、「完全お任せ型」にしないで通貨のリスク、商品のリスクなど分けて管理することも一つの方法だと思います。

私は、わかりやすい金融商品の一つで、相場が下落時にあっても利益を得られるチャンスのある商品としてFXを挙げることが多いです。

FXは通貨ペアの売買をして、基本的には「サヤ抜き」によって利益を得るというシンプルな商品です。その中で、変動理由のわかりやすさ、情報量の多さ、取引のしやすさというのは通貨ペアの選び方によります。

取引量が多く、情報が得やすい方が値動きの理由も追いやすいものです。世界の取引量では1位ユーロ/ドル、2位ドル/円、3位ポンド/ドルとドルベースの取引が中心ですが、ドル/円以外で私たち日本人が好むのは、「円相場」つまりユーロ/円、豪ドル/円など、ドル円とその通貨の対ドルレートとの合成である「クロス円」と呼ばれる通貨ペアです。

一見、円が絡む方がわかりやすいようですが、人気の高い豪ドル円も、世界第4位の取引量をもつ豪ドル/ドルとドル/円の組み合わせで、実は豪ドル/円そのものとしては取引量では世界で上位には入ってきません。
その動きはオーストラリアの経済事情だけではなく、ドル/円からも多分に影響を受けています。
よりシンプルに値動きを理解していくのであれば、ドル/円と豪ドル/ドルの取引を別々にする方が世界での流通量も情報も多く、分かりやすいということですね。

ユーロに関してはユーロ/円としても世界第7位の取引量がありますが、現在の市場ではユーロ圏と米国の経済・政治情勢に市場の関心が集まっているので、豪ドルと同様にユーロ/ドルとドル/円での取引がより分かりやすいかもしれませんね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー