テレビのニュースや新聞では民主党総裁選、つまり次期首相について大いに盛り上がっています。(※このコラムは8月28日(日)夜間に執筆しました。)ですが、為替市場は日本の政治イベントにはほとんど反応しません。

一国の、それも先進国の首相が交代するというのは大きな意味をもって然るべきところですが、過去5年にわたり、毎年首相が交代し、それでも大きな政策変更もないような今の日本には、市場はとっくに関心をなくしています。
・・・と書くと、以前は日本の政治も市場に影響を与えていたような印象を与えてしまいますね。過去に「経済は一流」と言われたときでさえ、「日本の政治は3流」と言われていて、やはり為替市場はほとんど無視していました。
つまり教科書的には市場の変動要因として「政治」「要人発言」といったものは上位に挙げられているものの、「日本の・・・」が該当することはほとんどないのです。

投資をする方で、その情報収集をテレビや新聞のみに頼っている方はあまりいないとは思いますが、その一面トップ記事が必ずしも市場関係者の関心・テーマではないことに注意してください。ネット上のニュースでも一般ニュースであればテレビや新聞と同じです。

投資には、投資家向けに発信されている市場ニュース・ソースに絞って、市場の関心はどこにあるかを確認し、できるだけタイムリーな情報を集めるようにしたいものです。

FX投資であれば、もっとも層が厚く、市場が動くロンドン、NY時間帯に発信される
現地の(英語の)情報が一番早く、信頼性が高いと言えるでしょう。もちろん玉石混合ですので、ニュース・ソースには十分注意する必要があります。
現地で発信されたものを日本語訳にしてから再発信されたものを待っているうちに相場の反応は終わってしまいます。一番流動性が高い、主要な市場の情報こそ相場を動かすものだということを知っておきましょう。
市場の動きを見ながらの短期勝負を挑むのであれば、なおさらこの点は注意したいですね。

情報源として専門雑誌も挙げられますが、発行時期とその記事が書かれたタイミングには大きな差があることは認識しておいてくださいね。相場はその間に大きく変わってしまうことも多いものです。
雑誌はタイムリーなコメントや戦略の参考にするのではなく、手法や考え方、過去の分析などを得るものと考えましょう。

今の市場の関心はどこか・・・なんといっても今は米国経済の動向ですよね。金曜日のバーナンキFRB議長の演説ではQE3には言及されなかったことでドルの買い戻しもありましたが、今週は月一の大イベントである雇用統計の発表もあり、まだまだ不安定な状況です。
米国情勢の他にはユーロ圏の信用問題に関するニュースはまだまだ市場を大きく揺るがします。
市場の関心・テーマを押さえておくことが、様々なニュースなど情報に振り回されないためにも大切ですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー