「ついに・・・」とは書いたものの、円の高値を突破するために市場がやっきになって「円買い」をした結果というわけではなく、ドル売りの過程で円の最高値がついてしまったという感じです。2011年3月17日の前回の最高値更新以来、介入で多少戻したもののじりじりと円高が進んでいたので、サプライズではありませんでした。
市場ではある目標値を達成できるとその満足感から反転するような場面もあるのですが、今回は「円の最高値をつけた」という達成感よりは、今後のドルの行く末だけが注目されているわけですから、まだ円高が進む可能性は十分にありそうですね。
主要国は自国通貨高を容認できる経済状況になく、そもそも「円高を狙った結果」ではないことから、政策的に国際協調を、といってもなかなか難しいともいえます。単独介入をしても限界があるでしょう。
ドル/円を買い支えているのは日本の個人投資家に多いことは前々回の本コラムに書きました。今回のように過去に例のない水準にまで相場が進んでいるときは過去の堆積であるチャートもあまり頼りにはならなくなります。
投資戦略については、日本からの視点ではなく世界の投資家がどう見ているかに視点を変えて組み立て直したいですね。
第235回 ポジション状況
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2011/07/25.html
一般に下げ相場においては投資家心理も冷え込みがちですが、為替市場では、個人投資家もリターンを得るチャンスが大いにあります。
買いからも売りからも自由に入れるというFX投資の商品性がその理由です。
今回のような相場を見て、FX投資を始めようと考える方も多いかもしれません。
為替差益を狙うためには、相場が動くことが必須条件ですが、動きの速い相場にFX初心者が挑戦する場合、リスク・コントロールは徹底して行う必要があります。
もっとも大切なリスク・コントロールはレバレッジ管理と損切り注文です。少額の資金で一気に大きなリターンを狙おうと高レバレッジを考える人もいるのですが、たとえ相場が安定していても大変リスクが大きく、特に今のような相場では(市場においての)命取りになりかねません。
以前にも書きましたが、個人投資家であれば低レバレッジでコツコツとリターンを積み重ねることをお勧めしたいと思います。
第233回 プロのFX個人投資家
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2011/07/04.html
「コツコツとリターンを~」も実は簡単ではないのですが、少なくとも大きな損失を抱えないように、市場から強制退場されずに長期に市場と関われる=長期投資できるように損切りの注文はしっかり入れるようにしたいですね。もちろん、欲張らずに利食い(リカク利益確定)の注文をすることで、コツコツ・リターンの道に近付くと思います。
相場を相手に投資をするとき、「必ず勝つ」ことは残念ながらありません。そうした投資の特性は良く理解したうえで、市場と向き合うようにしてくださいね。
(※)本原稿は日本時間2011年8月21日(日)夜に執筆いたしました。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員