先週は各市場が大変な荒れ相場でしたね。
いよいよ金融市場全般は大きな変革期を迎えていると言えるのかもしれません。
先週も触れましたが、何十年もの間、米ドル、米国債は市場の中心、絶対的なもの、として君臨してきたのですが、ここにきて米ドル売りが止まらなくなり、ついには米国債もその絶対的な地位から陥落しました。どんなに財政赤字があっても、なぜか「米国債は安全」と認識され続けてきたのですが、ようやく市場が実情を受け入れたともいえます。

このように市場が過去、例を見ない状況になってきているとき、その現実をあるがままに受け入れるかどうかは投資と向き合う上で大切なのではないでしょうか。

投資をする人で過去のチャートを見ない人はいないと思います。
チャートを見ること、自分なりに分析をすることなどはとても大切なことですし、必要なことなのですが、過去の動きに囚われ過ぎてしまうと危険です。
「過去ここまでしか来なかったからここで止まるはず」
「この水準まできたら絶対反転するはず」
などなど。

世界経済に大きな変化がなければ、そうした過去の動きは大いに参考になると思います。ですが、現在のように基盤となっていたものが不安定になってしまうと今後を占うときに過去をベースにすることはできなくなってきますよね。

今、日本国債も格下げの可能性が高まっていますが、財政状況からすれば、然るべき措置かもしれません。一部には円高を緩める効果もあるとされています。

たしかに日本の財務赤字は大変なものですが、その国債はほとんど国内で消費されていて、世界中の国が保有している米国債と同様には考えられません。
流通量や市場へのインパクトは比較にならないものです。

日本国内の日本人からの目線で見るものと、世界の投資家の目線は異なります。
これまでも書いてきたように「円相場」という発想でいるのは日本人だけで、今の世界の市場への影響力からすると、ドル相場、ユーロ相場の裏側に円があるに過ぎないのです。
史上最高値近辺だからドル円は「押し目買い」のチャンスとドルを買い支えているのは主に日本の個人投資家です。

今の市場状況では、軽々と史上最高値を更新し続けるリスクも十分に大きいように思いますし、その場合、もし早目に見切ることができなければ、日本の個人投資家は大きな「負け」を抱えることになってしまいます。

ではこのような市場では、どんな風に相場と向き合うべきでしょうか。

●「世界目線」を意識して投資する

● 柔軟に現実を受け入れて、過去の動きに固執しない

● 市場の動きが早いので、投資を放置しない、ただし後追いは危険

相場を後から追いかけると振り回されてしまうだけです。
値動きが荒いときは、少なくとも損切りだけはしっかりとできるようにしたいですね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー