日本に限定して言えば、震災および収束しない原発問題に対する心理的な不安、復興の目途が立たないいらだち、夏を目前にしての電力不足と節電の必要などなど・・・まだまだ生活感としては厳しい現実と向き合わなければなりません。
たとえ夏のボーナスをもらっても、パーッと楽しく使おうという気分にはなりにくい状況のようです。今夏のボーナスは震災の影響で「昨年並み」「減りそう」が大多数ということです。(日経新聞2011年6月26日のアンケート調査より)そもそも昨年の夏のボーナスも厳しい経済状況の中での支給で、総じて少なめとなっていたはずですので、昨年並み以下となれば家計としては厳しいはずです。
たとえば旅行業界では、企業の節電対策による長期休暇と日本(もしくは関東圏)からの脱出を目的とした長期(海外)旅行の需要が伸びているという景気のよいニュースもありますが、多数派とは言えないところでしょう。
ボーナスは企業業績の影響を受けやすい「収入」です。このボーナスに対して「固定費」となる住宅ローンの返済(ボーナス払い)を充てている人にとっては、ボーナスの大幅な減額はかなりの痛手となります。ましてや月々の生活費の補填・しわ寄せをボーナスに頼っているような場合、死活問題となってきます。
前述のアンケートにおいても、家計の防衛色は強まっていて、ボーナスの使い道については41%が「貯蓄」ということです。将来の厳しさに備えて、自ら資産を殖やそうという姿勢はけっして間違ってはいないと思うのですが、「投資」は6%とわずかなのが気になります。貯蓄方法として、ボーナスが振り込まれた普通預金に寝かせていたり、そのままメインバンクの定期預金といったケースが多いのかもしれませんが、超低金利が続く中、それでは本来の目的である「将来のための資産づくり」にはなかなか辿りつけません。
「貯蓄」以外で上位の「生活費の補填」(同22%)「住宅ローン」(同10%)の答えに該当する場合は、自身のライフプラン、マネープランを根本的に見直す必要があると言えるでしょう。日常の支出を徹底的に検証し、ボーナスで補填しないようにする、住宅ローンそのものを見直し、繰上げ返済や借り換えなども検討してなるべくボーナス頼りの構造を変えていく努力が必要ですね。
不安心理から安全志向が高まるのはよくわかりますが、無駄な支出をなくし、計画的な支出に変えていくことを進めつつ、資産を育て守るためには「貯蓄」だけではなく、やはり「投資」も組み入れていくことが大切ですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー