少子高齢化により現役世代の人口が急速に減少していく2025年問題。経済活動を維持するには働く意欲のある高齢者がこれまで以上に活躍することが期待されています。2020年の労働力人口は6868万人でしたが、そのうち65~69歳が424万人、70歳以上は498万人です。労働力人口総数に占める65歳以上の割合は13.4%となり、右肩上がりで年々上昇が続いています。
高年齢者雇用安定法の改正により2021年4月からは、企業は従来の65歳までの雇用確保の義務に加え、70歳までの就業機会の確保(70歳までの定年延長、定年制の廃止、再雇用制度の導入など)が努力義務となりました。働き方の多様化に応じるためにいままで働いてきた会社を退職して個人事業者として業務委託契約を結ぶなど、直接雇用によらない措置も新たに設けられました。
内閣府の高齢社会白書によると、現在仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、「70歳くらいまでもしくはそれ以上」との回答と合計すれば約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。従業員31人以上の企業約16万社のうち、高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は80.4%となっており、労働意欲の強い高齢者の職場も多いとみられるためシニア雇用関連銘柄が注目されそうです。
シニア雇用関連銘柄
キャリア(6198)
高齢化社会に特化した人材提供サービス会社です。働く意欲のあるシニアの雇用創造推進を目的としたシニアワーク事業と、介護サービスを支える人材である看護師、介護士の派遣・紹介などを手掛けるシニアケア事業が2本柱です。コロナ禍では、防衛省主催の大規模接種センターへの常時看護師200名の派遣事業を受託しました。2021年3月には障がい者雇用支援事業を展開するウェルネスキャリアサポートを設立し、22年9月期からの業績貢献が期待されます。
パソナグループ(2168)
本社機能の一部を兵庫県淡路島に段階的に移転し、拠点分散によるBCP(事業継続計画)対策を進めるとともに、コロナ禍の影響を受けた若者や就労が困難なひとり親家庭、経験豊富なシニア世代など幅広い人材が活躍できる就労プログラムを展開しています。グループ会社のパソナマスターズでは、シニア人材派遣・再就職支援などを手がけ、経営・財務部門、管理・事務部門、専門・技術部門、営業・販売部門など様々な分野のスペシャリストを紹介しています。
フルキャストHD(4848)
グループ会社のフルキャストシニアワークスでは、就労意欲のあるシニア人材に特化したサービスを提供しています。東京・神奈川・千葉・埼玉が対応エリアで、1日単位で2時間からオーダー可能な人材派遣と直接雇用のための有料職業紹介を手掛けており、清掃・飲食・小売・製造・倉庫・オフィス・コールセンター・介護補助など様々な業種に対応しています。
ビザスク(4490)
ビジネス知見に特化した日本最大級のナレッジプラットフォームを運営しており、新規事業開発における業界研究やニーズ調査、人材育成、グローバル進出など、様々な課題の解決に、テクノロジーと高度なオペレーションで個人の知見をピンポイントにマッチングしています。登録者の大半は現役社員やフリーランスですが、シニア層も登録しています。また、2020年から社外取締役や社外監査役のマッチングサービス「ビザスクboard」を開始しており、専門性の高いスキルや経験を持ったシニアの活躍が期待されそうです。