先週、高金利・高成長国の通貨に投資する方法として、FX、外貨建て債券や外貨建て預金などを紹介しましたが、通貨のみならず、そうした国の様々な市場に投資する商品として投資信託(投信)やETFも大変人気があります。

週末の日経新聞でも、震災後に一時鈍った個人マネーの投資信託への流入が急拡大していて、特に「利回りが高い海外の不動産投資信託(REIT)や債券を組み入れた商品」に資金流入が目立っていると報道されていました。

実はこれらの投信に人気が集中しているのは震災後に限らず、過去1年間の資金純流入額のランキングを見ても、前述の記事と同様に「海外REIT」と新興国もしくは資源国の通貨選択タイプや低格付け債に投資する「高金利(好利回り)債券型」に集中しています。

いずれも比較的高い分配金が受け取れる毎月分配型ですね。

投資信託の場合、FXのような短期売買ではなく、中長期保有目的で購入することが多いことでしょう。それだけに現在のような過去最高値圏にある円高水準は、今後円高が進むよりは円安に振れる「可能性」の方が高いと考えやすいですから、購入の大きな後押しになりますよね。

さて、あくまで一般論として「効率的な投資方法」について解説するとき、20~30代の方が老後資金を見据えて資産形成を目的に長期投資をする場合は時間を味方につけて複利効果が狙いながら分散投資をすることがポイントとお話しします。そこで、分散投資の一部として投資信託を持つ場合は、分配型と無分配型(発生した利益を元本に組み入れるタイプ)であれば、複利効果の高い無分配型の方が「資産を増やす」効果は高いという説明になります。税金が途中でかからないというメリットもありますし。

ただ、誰にとっても資産が増えることは嬉しいはずですが、必ずしも全ての人がずっと先の将来に十分なお金が必要というわけではありませんよね。そんな先までお金が増えるのは待てない、なるべく「今」使うお金が増えてほしいと考えている方もいます。特に今後定期的な収入が増えることを期待しにくい高齢者の方であれば、将来の複利効果云々よりは毎月の手持ちのお金が増えることの方がよほど大切というのがわかります。基準価額の変動よりも、分配金額の変動を重視する傾向が強い方々もいらっしゃいます。

前述したランキング上位の投信の保有者の多くは年金生活者を含む比較的高齢者層ということで、そうした方々に毎月分配型が人気なのは至極もっともなことですね。

もちろん投資信託を選ぶ方法として、分配型かどうかだけが投資の決め手ではありません。

今後の成長期待や安定性などについて投資対象の魅力を十分に調べて納得することが商品決定には何よりも大切です。人気ランキングはあくまで参考に、「自分自身の投資目的やスタイルにあっているか」の確認をするようにしてくださいね。

廣澤 知子ファイナンシャル・プランナー