リーマン・ショック以降、世界各国が一斉に利下げ、金融緩和をすることで景気刺激をしてきましたが、ここにきても先進諸国では日米のようになかなか利上げに方向転換できない、ユーロのように利上げしても諸問題を抱えたまま、なかなか順調には進まないといったような状況が続いています。

それに対し、新興国や資源国においては、金融緩和によってあふれたマネー、商品市況の高騰などを背景に景気回復し、インフレ気味で利上げを繰り返しています。それでも利上げが間に合わない国も多い状況ですね。

結果として世界一律低金利であったのが、各国間に大きな金利差が生まれてくるようになりました。お金の投資先を求めている投資家にとってはこの金利差は大きな魅力となります。

数年前、日本では金利差を求めた投資法として、FX投資で高金利通貨をロング(保有)にし、日々スワップ金利を受け取る「スワップ狙いのロング・キャリー」という手法が大人気でした。

世界中が低金利になっていき、かつ急激に円高が進んでしまったことで、為替差損が膨らむ一方、スワップ金利は日々小さくなり、この手法の魅力は薄れていたのです。しかし、ここにきて再びオーストラリアなど資源国の利上げを背景に、この手法での取引が増えてきているようですね。

現在が超円高で、これ以上急激な円高を想定しにくいレベルにあることも外貨の「買いやすさ」「保有しやすさ」の要因です。

ただFX投資で金利差を狙おうとすると、投資可能な一部の通貨ペアに限られており、より高い金利、高成長が期待できる新興諸国の通貨には投資できませんよね。そこで、別の投資方法が最近あらためて注目されています。

といっても目新しいものではなく、外貨建債券や外貨預金があらためて注目されているのです。これらはFXに比べて長期間資金が縛られますし、その間の為替変動に対応ができない、金利そのものがあまり高くない、と一時期人気が落ちていました。

ところが最近ではFXでは投資対象になっていないような高経済成長の新興諸国の通貨建ての高金利商品がたくさん登場してきています。

経済の動きが不安定なときは、比較的安定的な利益を得られるフィクストインカム(固定した利金を得られる)商品に投資することが好まれます。

債券はフィクストインカム商品の代表です。

外貨建債券には様々なリスクがありますが、その中で大きなリスクのひとつが為替変動リスクですね。(※)為替差損を被らないためには、なんといってもなるべく円高時に投資することですが、前述の通り、現在日本円は超円高水準にありますので、歴史的に見れば現在の為替水準であれば中長期間資金が縛られても為替差損を被る確率は低くなっていると言えますね。

あくまで個人的な意見ですが、現水準以上に大幅に円高が進む経済的理由は考えにくいと思います。

外貨に投資する、と一言でいっても様々な手法があります。目的や投資期間を考えて、そして好機を逃さずに投資していきたいですね。

廣澤 知子ファイナンシャル・プランナー

(※)外貨建て債券・FXのリスク・手数料等に関しては、「リスクおよび手数料等の説明」をご覧ください。