頻繁に「IMF」という単語を耳にしますね。先週もギリシャ向け次回融資拒否の可能性、G8での中東民主化支援発表のニュースなど世界経済における重要なシーンに登場しています。危機に陥った国を支援してくれる組織、世界経済に大きな影響力をもつことはわかりますが、そもそもどういった組織なのかと言われると説明できない方も多いことでしょう。

まずは教科書的ですが簡単に説明しましょう。IMF(International Monetary Fund)は日本語では「国際通貨基金」と言い、国際連合の専門機関です。187カ国の加盟国があり、国際システム(具体的には通貨や為替相場等)の安定を目的として、各国・地域の金融・経済政策の監視、管理、助言、融資などの活動をしています。

以前にもIMFについて、「欧州版IMF」の紹介の中で書いています。ご参考まで。http://lounge.monex.co.jp/column/money/2010/12/20.html

IMFの活動は、そもそもは内政不干渉の原則のもと行われていましたが、現在では政策改善条件をつけ、かなり踏みこんだポジションかつ発言力をもって国際経済の場に君臨しているとも言えますね。

加盟国の各国2名の代表者(通常は財務大臣や中央銀行総裁)から構成される総務会(The Board of Governors)が最高意思決定機関となります。その投票権は経済規模に応じた出資金の比率に応じて与えられており、6.25%の比率をもつ日本はアメリカの16.8%に次いで2番目で、ドイツ(5.83%)、フランス(4.3%)、イギリス(4.3%)とあわせて任命理事(appointed director)メンバーですが、残念ながら、なんとも存在感は薄いですね。

通常業務は執行機関である理事会(The Executive Board=The Board)が行います。理事会は24名の理事から成り、そのトップは日本語では「専務理事」と訳されています。この専務理事は欧州出身者、世界銀行の総裁には米国出身者が選出されるのが暗黙のルールとなっているとのこと。このポストが世界187カ国の経済関係者の代表という重要なものであることは間違いないですね。

今月15日、ドミニク・ストロスカーン専務理事(当時)がNYで性的暴行容疑で逮捕!(本人は容疑否定)、18日には辞任という前代未聞のセンセーショナルな事件が起こりました。そのため、先週末のG8においてもジョン・リプスキー筆頭副専務理事が専務理事代行を務めています。

現在次期専務理事候補の指名受付期間(~6月10日)となっていますが、フランスのラガルド財務相にほぼ固まっていると言われており、決定すればIMF初の女性専務理事となります。トップは欧州出身者という流れについて、アジアからは不満の声も出ている折、任命理事国である日本にはもう一歩表舞台に出てきてほしいものですね。

※本日夜22:54~ テレビ東京「WBS」に出演します!

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー