厚生労働省がまとめた2010年版「働く女性の実情」によると、女性の雇用者数は前年比18万人増で過去最高の2329万人になったとのこと。

女性の生涯労働はM字型曲線を描くと言われています。出産・子育て時期に仕事を離れる女性が多いため、その年代の「働く女性」が減るからです。これはだいたい世界共通のものですが、女性が働き続けやすい環境にある北欧などではこのM字型の谷が浅くなっています。仕事を中断することはキャリア形成においても不利になりやすく、女性の社会進出を促すためにはこうしたM字型をできるだけ解消するような施策、例えば保育所等の完備や育児休業等企業の支援などが望まれるとされています。

女性雇用者数の増加=女性の社会進出、キャリアアップが進んだ、政策が上手くいっている!ということかと言えば、そうとは限らないようですね。同調査によると以下も明らかになっています。

・数字を押し上げたのは非正規雇用者数の増加・男女間賃金格差は前年より拡大・30代の未婚女性の比率が上昇したため就業者増・子供がいない夫婦の比率の上昇(少子化)したため就業者増

非正規・低賃金の女性雇用者が増えたこと、未婚・子供なしの30代が増えたことが背景にあるということです。継続労働をしている女性が増えたことはキャリア形成にプラスになっていると考えられますが、必ずしもキャリアアップとイコールとは言い切れないですね。それ以上に少子化の問題が浮き彫りになっているとも言えます。また世の中の厳しい状況が、図らずも「働かなくてはならない女性」を増加させることとなったとも言えるでしょう。

ただ、生涯における家計、マネープランという点から見ると、乱暴な言い方をすると、キャリア云々はさておき、家庭において労働力が複数あることは大きな強みとなります。FPとして、同じ女性として「働く女性」が増えていることは、とても頼もしく応援したいのです。

昨今、男女含めて右肩上がりに給与が上昇する時代ではなくなっていますし、雇用が完全保障される世の中でもありません。若年層においては収入が伸びないので「結婚できない」とする男性も増えているのが現実です。また既婚・未婚も年齢で線引きされることもなくなりつつあり、既婚→未婚となるケースも多いです。将来、公的年金だけで生活できるかと言えば難しいでしょう。

であれば、男女問わず少しでも自分で「稼ぐ力」を持っていることは重要です。なんらかの仕事をすることで、技術向上や「その先のキャリア」に結び付く可能性もあり、収入の増加にもつながってくることも期待できます。

社会や国が何かを変えてくれるのを待っていても、いつになるのかわかりません。自分自身で「稼ぐ力」を持てるように環境を作る、マネープランは「もしも」のケースも想定して何通りか考えておくことも必要だと言えますね。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー