先週、米軍による国際テロリストであるウサマ・ビンラディンの殺害が報道されました。多くの犠牲者を出した、許し難いテロ行為の首謀者をついに「退治」したのです。報復テロの心配もあり、手放しでほっとするわけにはいきませんが、9.11からの10年に及ぶ「戦い」の一区切りにはなったのでしょう。

ところで、ニュース番組では「殺害」という文字と歓声をあげて喜ぶ人々の顔が一緒の画面にありました。報道の仕方のせいか、少々違和感がありました。戦争が身近になかったために、私自身に戦争で敵の殺害=勝利という感覚に乏しいのでしょうか。

国によって宗教や教育、制度などが異なります。
人種や国籍ではなく、どういう環境に育つかによって考え方から表情、しぐさなど、人間形成に影響するように思います。
米国で友人になった日系アメリカ人はDNAこそ日本人のはずですが、考え方や物腰だけでなく体格まで「日本人離れ」していたことが印象的でした。

そんな環境について、子供のころからの教育という点で、気になる日米の違いがあります。

「アメリカの小学生が学ぶ教科書」(ジェームス・M・バーダマン/村田薫編)という本で6th GRADE(6年生)が学ぶものの中に「資本主義と社会主義」という項目がありました。

経済システム、資本主義と社会主義、資本、利潤動機、需要と供給、労働と賃金、マルクス・・・などなどの説明が載っています。

今の日本の小学校高学年の社会科の教科書にこのような具体的な「経済」について教える内容は載っているのでしょうか?

私が子供のころ、小中学校の社会科では「歴史」「地理」あとは「公民」の中で政治の仕組みなどは習いましたが、大学で経済を専攻するまで、前述したような「経済」についてはほとんど無知だったように記憶しています。

そうした時代に教育を受けた人が「学校の先生」となっている今、ご自身で投資経験等がない限り、学校で生きた経済の動きについて教えられる先生は多くはないかもしれませんね。

私は日本でも子供のうちから「お金の教育」が必要と考えており、そうした活動もしてきました。
ネット社会となり、世界中の時間差を飛び越え、経済活動もボーダーレスな現在、子供のころから経済や社会の仕組みを学んで身につけている外国の人々と、社会人になっていきなり同じ土俵(市場)で向き合うのは大きなハンデのように思うのです。

経済⇒お金稼ぎ・・・と日本ではお金の話は「はしたない」とされてきましたが、現実社会ではどんな状況下にあってもお金と生活は密着しています。

子供の日は過ぎてしまいましたが、お子さんのいらっしゃる方、これからお子さんをお持ちになる予定の方はご自身が経済(お金のこと)を知るとともに、お子さんにも早くから教えていかれてはいかがでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー