片や自然災害であり(その後の原発被害については「自然」災害とは言えないですが)、片や人為的なテロ行為であるため、同一視はできないように思えますが、いずれも予測できなかった点、未曾有の被害をもたらした点、世界経済に大きな影響を与えた(与えている)点が共通しているということです。
世界中の企業活動や各国の各種政策など世界経済と市場を安定的に発展・成長させるための様々な人的努力はこうした予測不能な事態によってガラリと変えられてしまいます。残念ながらプラス方向ではなく、コツコツと積み上げたものが瞬く間に消滅してしまう方へ・・・。
今回のG20についての報道の中で「08年秋の金融危機からの回復途上にある世界経済の先行きの不確実性が増している」とありました。
「不確実性」という言葉はよく「リスク」に置き換えられます。一般にリスクとは「危険」「被害」を受ける可能性を指し、マイナスのイメージがあります。「安全」がその反対側にあるとされます。上記新聞記事における「不確実性」もマイナスのニュアンスですよね。
「投資・経済のリスク」になると、その定義が少し変わります。「ある事象の変動に関する不確実性」を指し、マイナスにブレる損失だけではなく、プラスにブレる利得についても用います。つまり、そのブレ幅そのものが「リスク」ということですね。
どれだけ市場(価格)がブレるのか、という価格変動幅の大きさが「価格変動リスク」です。相場のあるものに対する投資では代表的なリスクです。この他、投資対象の信用を見る「信用リスク」(「デフォルトリスク」)、外貨建てのものに投資した際に発生する「為替変動リスク」、市場の流動性の不安定さを見る「流動性リスク」などなど、投資における「リスク」には様々な種類があります。
リスク=ブレ幅ですから、期待リターンが高いものは当然リスクも大きくなり、損失に結びつく可能性が高いことになります。高リターンなのに限りなく小リスクという組み合わせは残念ながらありません。
投資は先を予測してお金を動かします。リスクを検討し、予測したうえで投資するのですが、3.11や9.11といった想定外の出来事によっては、その想定がまるっきりリセットされることもあります。今後の投資には、これまで以上に、過去の動きを見るテクニカル分析も、経済指標などを見るファンダメンタルズ分析もどうにも及ばない、こうした「不確実」な状況に対する覚悟が必要になるかもしれないですね。もちろん、不確実性=リスクが高まっているということは、リターンが高まる可能性も増えているということですので、それだけチャンスも多くなるとも言えます。
廣澤 知子ファイナンシャル・プランナー