給与から自動引き落としになっているサラリーマンの方にとっては税金や社会保険はもっとも分かりにくい分野かもしれませんね。
社会保険というのは社会保障の分野として、医療や老後、失業や災害などのリスクに対して生活を保障する国民が強制加入する保険を指します。
医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険などがあり、会社員や公務員、船員などが入る厚生年金・健康保険(共済組合)と自営業者等が入る国民年金・国民健康保険と種類が異なります。
この4月から変更になるのは、自営業者の方(第1号被保険者)などが加入する「国民年金」の保険料です。
どのように変更になるかというと、実は制度発足後初となる値下げとなり、月々80円の値下げで月額1万5020円となります。
その根拠は2006年~2009年の3年間の実質賃金が年平均でマイナス、およびCPI(消費者物価指数)が前年比でマイナスになっているという景気低迷を反映したというものです。
ちなみに会社員や公務員の方(第2号被保険者)が加入する「厚生年金」はこの4月には変更がなく、9月以降にこちらは既定通り引き上げになるとのこと。料率によるものなので給与によってその金額が異なります。
さて、国民年金保険料が値下がりになりますが、受け取る国民年金支給額の方も値下がりします。もともと物価連動型の仕組みとなっているため、デフレ状況を反映させたことになります。月額にして267円減で6万5741円になります。
これだけ見るとサラリーマンOBの方などには関係ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、第2号被保険者が受け取る厚生年金は2階建ての仕組になっており、その1階部分は基礎年金=国民年金ですので、つまり厚生年金支給額も減額になるということです。
また、社会保険の中の一つである健康保険の方も一部変更があります。変更になるのは一部のサラリーマンの方の加入する健康保険料で、これは引き上げです。
健康保険は事業者ごとに異なるものですが、今回の引き上げになるのは中小企業従業員向けの全国健康保険協会菅掌健康保険(協会けんぽ)に加入されている方が対象です。全国平均の保険料率が年収に対して9.34%から9.50%に引き上げですが、労使折半ですから加入者本人の負担はその半分です。
社会保険以外にも自動車やバイクの所有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料の引き上げなど、私たちの生活の直接影響のある変更がありますので、ぜひチェックしておいてくださいね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー