株式や投資信託(国内公募株式投資信託)での運用をしていても、特定口座「源泉徴収あり」を利用している場合は確定申告を省略することができます。FX取引やCFD取引をしている方でも、年間合計所得金額が20万円を超えていなければ確定申告の必要はありません。
確定申告と聞くと「税金を払う」イメージが多く、なるべく敬遠したくなるかもしれませんが、「払い過ぎた税金を返してもらう=還付」ができる大切な機会であることを忘れてしまってはもったいないです。
例えば、
昨年株式取引で大きく損失が出た。当然昨年分として税金を払う必要はない。でも今年は年初から調子が良くて利益を積み増している・・・
といった場合、下記の特例を利用することに大きなメリットがあり、特定口座「源泉徴収あり」を選択している場合には確定申告が必要です。
・上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
「平成21年分以降、上場株式等を売却したこと等により生じた損失金額と配当所得の金額とを損益通算し、控除しきれない損失金額については、翌年以降3年間にわたり、確定申告により繰越控除することができる。」
複数の証券会社に口座をもっていて、損失が出ている口座、利益が出ている口座がまちまちの場合でも、損益通算をして確定申告することで利益の出ている口座において徴収された税金を取り戻したり、繰越控除したりすることが可能です。(合計で損失の場合)
投資関連に限らず、下記などに該当するサラリーマンの方であれば、確定申告(還付申告)をすることで、払い過ぎの税金を返してもらえます。
・年の途中で退職した(年末調整を受けていない)
・住宅ローンがある(一定の要件が必要)
・マイホームに特定のリフォームをした
・災害や盗難などにあった
・特定の支出額合計が給与所得控除額を超えた(転勤に伴う支出や必要な資格 取得など)
・多額の医療費がかかった
・特定の寄付をした
よくよく調べてみるとこれまでにも税金を還付してもらえるケースがあったのに確定申告をしそびれてしまった(もしくは間に合わない)・・・という方もいらっしゃるかもしれませんね。還付申告のみの場合、確定申告の時期(2月16日~3月15日)に限らず、申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。つまり、これまでに申告をしていなかった場合でも、平成18 年分までさかのぼって、今年の12月31日まで申告することができるのです。(上場株式等~については平成21年分以降)平成22年分の申告は、平成23年1月1日から平成27年12月31日まですることができるということですから、あきらめずにぜひ見直してみてくださいね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員