中国の株式市場(上海総合株価指数)が証券取引所を開設した1990年からのこれまでの成長の過程は、ちょうど終戦後からの日本(日経平均)の流れと重なるとよく言われます。
日経平均が1950年につけた安値85円から11年間で1,829円(1961年)まで約21倍になり、その後調整を繰り返しつつも1973年までの19年間では約63倍(5,395円)と上昇しているのに対し、上海総合指数は1990年の安値125ptから2001年までの11年間で約18倍の2,245ptになり、調整を入れて2007年までの17年間では約49倍の6,124ptまで上昇しています。グラフでお見せできないのは残念ですが、期間と倍率は少々異なるものの、かなり似た上昇カーブを描いています。
日本ではその間の大きなイベントとして東京オリンピック(1964年)、大阪万博(1970年)とあり、ドル円変動相場制への移行後の円高不況による大きな調整を乗り越え、1989年のバブル崩壊が始まる直前の38,915円(高値)までの39年間では実に約458倍もの株価上昇がありました。日本では史上最高値をつけた後、労働人口の減少も始まり、ご存じのような株価低迷が続いています。
中国でも2008年北京オリンピック、2010年上海万博と続き、日本と同様の動きも期待されていたのですが、2008年リーマンショック後の世界金融危機で残念ながら大きな調整となり、現在は反転上昇している最中といったところですね。
中国では2020年頃には一人っ子政策からくる労働人口の減少が始まるとも言われていますが、1990年からそれまでの30年間で、日本で見られたような大幅な株価上昇が見られるのかはわかりません。日本のバブル崩壊を反面教師としている中国政府のコントロールによって急上昇はないまでも「崩壊」は回避したいというところでしょうか。少なくとも中国元を変動相場制に移行させようという気配はまだなく、切り上げすら回避していますので、今後の動きは日本の過去は参考にならないかもしれませんね。
これからの中国にひそむリスクはというと、前述した労働人口の減少、高インフレと通貨政策・金利政策のかじ取りなどが挙げられます。また、政府内部における紛争や広大な国土からくる地域格差による国民の不満などの国内事情も大きな問題になりえます。
巨大なマーケットである隣国中国の動きはこれからはますます世界経済へ直接的に影響を与えますので、今後も注意深く見ていく必要がありますね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員