新型コロナウイルスに翻弄されたまま2022年を迎えましたが、今後3年で私たちは「2025年問題」に直面することになります。2025年問題とは、戦後の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた「団塊の世代」がすべて後期高齢者(75歳以上)となり、全人口に占める高齢者(65歳以上)が30%に達するなど、超高齢化社会に突入することで起きるとされる様々な問題の総称です。

高齢者比率が高まると、年金・医療・介護を柱とする社会保障費が増大します。その額は1990年の47.4兆円から2020年には126.8兆円に達し、30年間で約2.7倍に膨れ上がりました。さらに2025年に145兆円、2040年には190兆円まで膨張すると予想されています。社会保障費のうち、医療費は1990年の18.6兆円から2025年には47.8兆円まで拡大が見込まれ、その抑制が喫緊の課題となっています。

【図表1】社会保障給付費の推移
出所:財務省「社会保障等」(参考資料)より
医療費を始めとする社会保障費の削減策が政府にとって急務となるなか、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅の確保が重要となっています。そこで注目されるのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。

サ高住は、主に介護度が低い高齢者が自宅とほぼ代わりない自由度の高い暮らしを送りながら、スタッフによる安否確認と生活相談のサービスを受けることができる賃貸住宅です。外出の付き添いや食事の提供など、さまざまなオプションのサービスを受けられるところもあります。高齢化の加速で、今後もサ高住の登録戸数は増加する公算が大きいと思われます。それでは関連銘柄を見ていきましょう。

【図表2】サービス付き高齢者向け住宅の登録状況
出所:高齢者住宅協会データより

サービス付き高齢者向け住宅関連銘柄

学研ホールディングス(9470)

教育分野と並んで医療福祉分野で事業を展開し、主にサービス付き高齢者向け住宅、認知症グループホームなどの介護施設や子育て支援施設の設立・運営など手掛けています。2018年にグループホーム大手のメディカル・ケア・サービスを買収したことで一気に施設数を伸ばしました。サービス付き高齢者向け住宅を積極的に新設するなど、業界上位企業のなかでも開発意欲が旺盛です。

SOMPOホールディングス(8630))

大手損害保険グループながら、2015年に居酒屋大手ワタミの介護子会社のワタミの介護、2016年に介護事業のメッセージを買収するなど介護事業に本格参入しました。2020年にはサービス付き高齢者向け住宅など高齢者住宅を運営する東京建物傘下の東京建物シニアライフサポートを買収するなど、買収攻勢で高齢者住宅事業を拡大させています。

T.S.I(7362)

「アンジェス」のブランドで関西圏を中心にサービス付き高齢者向け住宅を運営しています。2020年11月に「アンジェス相模原」を開設して関東エリアに初出店したほか、既存施設の近隣県でまだ開設していない地域に出店する意向を示しています。今後数年は年5棟程度の新設を予定し、2030年には運営施設150棟を計画しています。

メディカル一光グループ(3353))

グループ会社で有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど28カ所を運営するハピネライフ一光が、2020年に愛知県を地盤に介護関連施設を運営するライフケアを買収しました。介護サービスで手付かずだった愛知県に進出し、今後も事業拡大に向けてM&A(合併・買収)を検討しています。