それらを受けての各市場の動きは、まさに様々な要因が複合されたものであったと言えます。
米国株式市場は比較的素直にそれらの結果に都度反応し、先週通して続伸しましたが、為替市場は売り買い双方の要因となりえる結果発表が続いたことなどから注目されていたドル円の最高値更新には至りませんでした。とはいえ、経済指標に対する反応は発表前後に集約されることが多いものの、金融緩和策に対しては引き続き神経質な反応がありそうです。
こうしたイベントの前には
「FOMCの追加緩和があると円高ですか?」
「中間選挙でオバマ民主が負けると株も為替も売りですか?」
といったピンポイントのご質問をよくいただきます。
もちろんそれぞれ個別の経済指標、イベントなどを教科書的に判断すればその方向をある程度予想することはできると思います。相場が簡単ではないのは、それに対して出回るたくさんの予想、予想を前提とした市場参加者の思惑と織り込み、各市場間の影響などが重なることによって思いがけない動きをすることが多々あるからです。特に為替市場は参加者も多い最大規模の市場であるだけに、専門家にも予測が難しい動きであると言えます。
今回は大きなイベントが続いたことから、次のイベント発表を前に取引を手控えて様子見をする参加者も多かったようですね。ドル円については、その時々の相場は神経質な動きを見せても、1週間を通してみると大きく崩れる(ドル円最安値更新)、もしくは急騰するといった大きな振れはありませんでした。ドルの売買の相手通貨として円からユーロや資源国通貨にシフトしていた部分も大きそうですね。
こうした重要要因が重なったとき、何を重視すればよいのでしょうか?一言で言えば、市場参加者が一番注目しているものを最重要視することです。当たり前だと言われそうですが、これがなかなか難しいものです。まずは自身の投資商品がどの市場のものかによっても影響の受け方は異なりますので、各市場別に見ておくことが必要でしょう。今回は、米国株式市場は素直に反応しましたが、ドル円相場は限定的な反応でした。
その上で予想がどの程度市場に浸透し、織り込まれているのかを見極めたいものです。相場変動を見ていく上で、「織り込み」と「様子見・手控え」は大切な要素ですからその点を踏まえて自身の取引に取り組んでいくようにしていきたいですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員