東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに大幅反落となりました。211円安の28,854円で寄り付いた日経平均は9時10分に161円安の28,904円まで持ち直した後下げ幅を広げると10時40分前に299円安の28,766円まで下落し266円安の28,799円で前場を終えました。さらに下げ幅を広げ326円安の28,739円でスタートした後場の日経平均は一段安となり13時20分過ぎに535円安の28,530円まで下落した後一旦14時過ぎに432円安の28,633円まで持ち直しましたが、再び下げ幅を広げると14時30分過ぎに563円安の28,503円まで下落し結局520円安の28,545円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は3.7%安となり節目の1,000ポイントを割り込んで年初来安値を更新しています。

2.個別銘柄等

アスクル(2678)が4.8%高となりました。個人向け通販の売り上げが伸びたことに加えて、商品在庫の配置見直しなどで配送効率を上げ物流コストを削減したことなどから上期の営業利益が前年同期比で13.0%増となったことで買いが優勢となりました。また、三井物産(8031)が自己株式を除く発行済み株式総数の1.8%に当たる3000万株と500億円を上限とする自社株買いを発表したことで一時2.0%高となったほか、フリービット(3843)も自己株式を除く発行済み株式総数の1.57%に当たる30万株と4億円を上限とする自社株買いを発表したことで6.8%高となっています。

一方で中外製薬(4519)が5.2%安となりました。米アテア・ファーマシューティカルズと親会社のスイス・ロシュが治験で有効性を示せなかったことから軽症から中等症の新型コロナウイルス患者を対象とする飲み薬候補の国内開発を中止すると発表したことが嫌気されました。さらに東京都で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が確認されたことから旅行・レジャー関連株が安く、オリエンタルランド(4661)が4.4%安、エイチ・アイ・エス(9603)が3.3%安、オープンドア(3926)が6.1%安、エアトリ(6191)も3.4%安となっています。半導体関連株も昨日の米国市場で主要半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4%を超す下落となったことで安く、東京エレクトロン(8035)が3.2%安となり、レーザーテック(6920)も一時3.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は520円安となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)がタカ派姿勢を示したことが改めて警戒され主力ハイテク株に売りが出て昨日の米国市場が反落となりナスダック総合株価指数が2%を超す大幅な下げとなったことから売りが優勢となりました。昨日は600円以上上昇しそれまで上値を押さえていた100日移動平均線や200日移動平均線に加えて、節目の29,000円や一目均衡表の雲の上限も一気に超えてきましたが、本日はこれらを次々と割り込むと下げ幅を大きく広げました。そのため上値の重さに加えて、下値への警戒感も意識されることになりそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の第3四半期決算発表がスタートしますが、本日は引け後に西松屋チェーン(7545)が決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)