先週末(NYタイムでは29日)、今年7―9月期の国内総生産(GDP)の速報値を発表しました。前期比2.0%(年率換算)増で市場予想と一致、回復の弱さが確認され、今週のFOMCにおいての追加量的緩和期待はますます強まっていますね。
さて、このGDPですが、以前米国経済指標の解説の中で取り上げましたが、ご存じの通り、米国に限らず各国の経済指標の中でも重要な位置づけにあります。
第193回 初心に戻って...米国経済指標のいろは~その3

≫ http://lounge.monex.co.jp/column/money/2010/08/16.html

前回、GDP=GDE(国民総支出)であり、

GDE=民間消費+民間投資+政府支出+輸出-輸入

であること、実質と名目があることなどを書きましたが、今回はGDPについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

GDPは大きく内需と外需に分けられます。上記式の中の(輸出-輸入)部分は外需で、残り部分が民間需要と公的需要からなる内需です。
民間需要は民間最終消費支出(消費)、民間住宅(住宅投資)、民間企業設備(民間設備投資)、民間在庫品増加(在庫)からなります。こうするとGDPに具体的に何が寄与するものなのかわかりますよね。米国では個人消費がGDPの約70%とも言われ、その米国のGDPは世界の25%超です。つまり米国の個人消費が世界経済の18%近くを占めていることになり、この部分の回復が何よりも注視されているのです。

さて、GDPはそのものの値ではなく、GDP成長率としてその変化率が注目されるものです。このGDP成長率ですが、毎月発表される重要指標として市場に影響を与えていますが、それは経済成長率と置き換えられ、長期的視点で経済がどのように成長してきたか、今後どうなるのか、何が寄与するものかという分析もされます。ちなみにここでの寄与度というのは前述の民間消費の寄与といったGDPの数値への寄与ではなく、長期的に経済成長するにあたって何が必要であるかといった要件です。
こうした分析は短期的な市場予想ではなく、長期的な投資を考えるにあたってより重要となりますね。

公式はちょっと複雑なので記しませんが、実際に経済成長率の寄与度分解をすると、質的寄与と量的寄与の合計となります。質的なものは技術進歩、量的なものは資本投入(資本増加)と労働投入とされています。
経済が実質的に成長していくためには技術進歩だけではなく、資本を十分に投下し、それを運営するだけの人的資本=労働力が必要ということですね。
今後、世界の技術進歩に各国差が少なくなれば、より資本をもち、労働力(労働人口の多さ)をもつ国こそが将来の大きな経済成長を期待されることがよくわかりますよね。それは株式市場の発展や通貨の強さ等への期待へとつながります。

GDPは各国の経済指標としてその時々の相場を動かすだけではなく、将来的な長期投資を分析する際にも重要だということです。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員