東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。85円安の28,554円で寄り付いた日経平均は下げ渋るとまもなくしてプラスに転じましたが、32円高の28,672円で上値が押さえられると売りが優勢となり下げ幅を三桁に広げ136円安の28,504円で前場を終えました。163円安の28,477円と節目の28,500円を割り込んでスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げ12時40分前に330円安の28,309円まで下落した後持ち直すと結局207円安の28,432円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は節目の1,000ポイントを割り込んで年初来安値を更新しています。

2.個別銘柄等

中外製薬(4519)が一時2.4%高となりました。関節リウマチの点滴薬「アクテムラ」を新型コロナウイルスの重症肺炎患者向けに使えるように承認を厚生労働省に申請したと発表したことが材料視されました。エイチ・アイ・エス(9603)も4.1%高となりました。第三者割当増資と新株予約権の発行で約71億6000万円を調達したと発表したことで財務悪化への過度な懸念が後退し大幅高となりました。本決算を発表した日本ハウスホールディングス(1873)も8.0%高となりました。主力の注文住宅で前年を上回る状況が続くほか、新型コロナウイルス感染拡大で落ち込んだホテル事業の回復を見込み2022年10月期の営業利益が前期比で79.2%増と大幅な増益となる見通しを発表したことが好感されました。また、エバラ食品工業(2819)が自己株式を除く発行済株式総数4.03%に当たる40万株と10億円を上限とする自社株買いを発表したことで4.1%高となり、モロゾフ(2217)も1株を2株にする株式分割を発表したことで6.0%高となりました。

さらに投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがJSR(4185)やスタンレー電気(6923)で、JSRが目標株価の引き上げを受けて一時4.9%高となり、スタンレー電気も投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時3.9%高となっています。一方でオミクロン株への警戒感が高まるなか空運株が安く、日本航空(9201)とANAホールディングス(9202)が一時3.4%安となる場面がありました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は207円安となりました。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染が拡大する英国で感染者の死亡が確認されたことでオミクロン株への警戒感が高まり昨日の米国市場が反落となったことで売りが優勢となりました。朝方は小幅にプラスとなる場面もあり、前場は節目の28,500円を前に下げ渋り底堅さをみせました。しかし、岸田首相が衆院予算委員会で自社株買いのガイドライン設定について言及したことで自社株買いが規制されることを警戒した売りが出て後場に入って下げ幅を広げると28,500円を下回りました。100日移動平均線の回復に失敗した翌日に節目を割り込んだことで上値の重さが一段と意識されそうで、こうしたなかで明日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて様子見ムードの強い一日となりそうです。なお、日本時間の22時30分には11月の米卸売物価指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)