東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は先週末の米国株高を受けて3日ぶりに反発となりました。267円高の28,705円で寄り付いた日経平均は取引開始から30分余りで224円高の28,662円まで上げ幅を縮めた後持ち直すと10時過ぎに355円高の28,793円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め258円高の28,696円で前場を終えました。274円高の28,712円でスタートした後場の日経平均は14時30分過ぎに155円高の28,593円まで上げ幅を縮めた後やや戻すと結局202円高の28,640円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
第3四半期決算を発表した三井ハイテック(6966)が17.1%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。電子部品の半導体用のリードフレームや電動車向けの駆動・発電部品のモーターコアの受注が好調に推移していることなどから通期の営業利益の見通しを116億円から130億円に引き上げたことで買いを集めました。オリックス(8591)も一時3.1%高となりました。2014年に800億円超で買収した子会社の会計ソフト大手の弥生を米投資ファンドのKKRに約2400億円で売却する方針を固めたと伝わったことが材料視されました。エレクトロニクス技術商社の高千穂交易(2676)も7.4%高となり年初来高値を更新しました。未定としていた2022年3月期の期末配当予想を前期実績から10円増額の23円とし、創業70周年の記念配当の15円も実施すると発表したことが好感されました。
また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのが東京海上ホールディングス(8766)や川崎汽船(9107)で、東京海上ホールディングスが目標株価の引き上げを受けて一時3.3%高となり年初来高値を更新したほか、川崎汽船も投資判断と目標株価の引き上げを受けて5.0%高となっています。
一方でネット関連サービスのエイチーム(3662)が15.7%安となり年初来安値を更新しました。エンターテインメント事業における新規ゲーム開発投資費用の計上やEC事業の苦戦で第1四半期の営業損益が赤字に転落したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は202円高となりました。寄り付き前の8時50分に発表された12月の日銀短観で企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業がプラス18と前回9月調査のプラス18から横ばいにとどまったうえ、3カ月後の先行きについてはプラス13と悪化する見通しとなりましたが、11月の米消費者物価指数(CPI)の発表を受けてインフレ加速への懸念が後退しハイテク株などに買いが入り先週末の米国市場が反発しS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。しかし、一時350円以上上げたものの、14日-15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え様子見となるなかで伸び悩むと先週末に上値を押さえられた100日移動平均線(28,709円)を引けで上回ることができませんでした。そのため上値の重さが意識されそうで、こうしたなかで100日移動平均線や200日移動平均線(28,877円)を回復できるかが今週もポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)