東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。182円安の28,542円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで26円安の28,699円まで持ち直しましたが、戻し切れないと下げ幅を広げ10時過ぎに241円安の28,483円まで下落しました。しかし、節目の28,500円を割り込んだことで押し目買いが入り下げ幅を縮めると115円安の28,609円で前場を終えました。142円安の28,582円でスタートした後場の日経平均は直後に121円安の28,603円までやや持ち直した後下げ幅を広げると大引け間際に332円安の28,392円まで下落し結局287円安の28,437円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

日立(6501)が一時3.3%高となりました。仏アルストムと組み英国で次世代高速鉄道「ハイスピード2」の車両54編成を受注したと発表したことが材料視されました。Gunosy(6047)も8.7%高となりました。企業価値が10億ドル以上の「ユニコーン」企業でモバイルクレジットカードサービスを提供しているインドのスタートアップ企業の強制転換条項付優先株式を追加取得したと発表したことで買いを集めました。凸版印刷(7911)も5.4%高となりました。有価証券の売却益を計上することで通期の純利益の見通しを360億円から900億円に上方修正し減益予想が一転して増益予想となったことで大幅高となりました。第3四半期の決算を発表した積水ハウス(1928)も一時2.0%高となりました。コロナ禍による在宅時間増加で戸建て事業が堅調で1棟当たりの単価も伸びたことなどから増収増益となり第3四半期として売上高と営業利益が過去最高となったことで買いが優勢となりました。

一方でエイチ・アイ・エス(9603)が14.3%安となりました。子会社2社でGoToトラベル事業の補助金に関して不適切な取引の可能性が発覚し事実解明のために調査委員会を設置したと発表したことで売りがかさみました。ネット印刷のラクスル(4384)も9.5%安となりました。顧客獲得のための広告宣伝費が増加したことなどから第1四半期の営業損益が赤字に転落したことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は287円安となりました。昨日の米国市場がハイテク株などに利益確定の売りが出て反落となったことで売りが優勢となりました。200日移動平均線の回復に一昨日、昨日と連日で失敗したのに続いて、本日は100日移動平均線(28,705円)で上値が押さえられると下げ幅を広げ節目の28,500円や5日移動平均線(28,481円)を割り込みました。そのため上値の重さに加えて下値への警戒感も意識されそうです。なお、日本時間の22時30分に11月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定ですが、来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えていることもあって注目を集めそうです。また、週明けの8時50分には日銀短観が発表される予定でこちらも注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)