【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,483.72 ▼652.22 ( 11/30 )
NASDAQ: 15,537.69 ▼245.14 ( 11/30 )
1.概況
米国市場はモデルナ(MRNA)の最高経営責任者(CEO)が新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する既存のワクチンの有効性が低そうだとの見通しを示したことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米議会証言でテーパリング(量的緩和の縮小)を加速させる姿勢を示したことなどが嫌気され大幅反落となりました。
78ドル安でスタートしたダウ平均は昼過ぎに680ドル安近くまで下落した後一旦450ドル安程度まで持ち直しましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げると取引終盤に711ドル安まで下落し結局652ドル安の34,483ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も245ポイント安の15,537ポイントとなっています。
2.経済指標等
9月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で20都市圏住宅価格指数は前年同月比19.1%上昇しましたが市場予想を下回りました。11月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数も109.5と前月から低下し市場予想を下回っています。また、11月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も61.8と前月から低下し市場予想を下回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもコミュニケーション・サービスと公益事業が3%近く下落したほか、生活必需品と資本財・サービス、エネルギー、素材、金融、不動産も2%以上下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中28銘柄が下げました。そのなかでもセールスフォース・ドットコム(CRM)が4%近く下げたほか、トラベラーズ(TRV)とアメリカン・エキスプレス(AXP)、スリーエム(MMM)、ダウ(DOW)、コカ・コーラ(KO)も3%以上下落し、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も3%近く下げています。一方でアップル(AAPL)が3%余り上昇し、メルク(MRK)も小幅に上げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、フェイスブックを運営するメタプラットフォームズ(FB)が英国の競争・市場庁(CMA)が昨年買収した画像共有サービス大手のジフィーを売却するよう命じたことが嫌気され4%安となりました。また、1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)も投資判断の引き下げを受けて5%を超える下落となっています。また、CEOが新型コロナウイルスのオミクロン株に対する既存のワクチンの有効性が低そうだとの見通しを示したことでモデルナも4%以上下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.06%低い1.44%となりました。ドル円は113円台前半で推移しています。リスクオフの円買いで一時は112円台半ばまで円高が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場が大幅安となったことで下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋るような展開をみせるかがポイントとなりそうです。
( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)