ワールドカップでは、日本がデンマークを下し、予選を突破しました!
現地観戦ツアーへの申込みが急に増えたとか。応援グッズの売上げも伸びているようです。
スポーツイベントでは、その勝敗によって経済効果も大きく違いますね。
さて、先週末、米国の金融規制改革法案が上下院にて一本化に合意しました。この金融規制改革法案は市場への影響も大きく、当然のことながら日本をはじめ世界中の市場に影響します。

この金融改革法案について、あらためて振り返ってみましょう。
そもそもは2008年のリーマンショックによる金融不安に際し、再発防止をすべく規制強化を図ることになりました。その約1年後、ドバイショックも勃発し、2009年12月に米国下院においては議案が可決されたものの、今年に入ってからより規制を強化した「ボルカー・ルール」をオマバ大統領は発表しました。これは、元FRB議長であるポール・ボルカー氏が中心になってまとめたもので、以下の3点がその柱となっています。

銀行業務を行なう金融機関に対して、

(1)ヘッジファンドやプライベート・エクイティファンドへの投資や保有の 禁止

(2)自己勘定取引の禁止

この「自己勘定取引の禁止」は主に高リスク商品の取引を指しているた め、デリバティブ(金融派生商品)取引の禁止も意味する

(3)金融機関の規模の巨大化の制限

当然のことながら、この発表があった直後は、金融業界から猛反発がありました。市場での身動きがとれなくなる=採算がとれなくなる、流動性が低下する、ということです。金融株が売られ、株式市場全体も下落しました。

今回、このボルカー・ルールは少なからず緩和された形で改革法案に盛り込まれ、合意されています。
具体的には(1)については、自己資本の3%を上限に認めることとし、(2)については、自己のヘッジのための金利や為替のスワップ取引に限り認めています。ただし取引所や清算機関を通じて決済することで透明性を保つようにし、高リスクのデリバティブ取引については、別会社などで行なうよう制限をつけています。当局の監督を強化する案も盛り込まれています。

いずれにせよ、金融機関にとっては収益源が制限されるとはいえ、完全に禁止されるわけではなくなることから、早くも金融株が上昇しています。

自由市場経済の先頭にある米国において、こうした金融規制を敷くことは、当然のことながら世界中に大きく影響します。
市場を管理する社会主義市場経済にある中国のような新興国にとっても、こうした金融規制の影響は少なからず受けることとなります。
市場の在り方そのものを冷静に見直す時期にきているのかもしれませんね。
廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナーCFP(R)
(社)日本証券アナリスト協会検定会員