東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。166円高の29,469円で寄り付いた日経平均は10時過ぎに267円高の29,570円まで上昇した後やや上げ幅を縮めると197円高の29,500円で前場を終えました。

245円高の29,547円でスタートした後場の日経平均は節目の29,500円を小幅に上回って推移しましたが、引けにかけて29,500円をわずかに下回ると結局196円高の29,499円で取引を終えています。一方で新興市場は軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

塩野義製薬(4507)が3.0%高となり上場来高値を更新しました。ベトナム保健省と新型コロナウイルスなどの感染症対策での連携について基本合意し、開発中の新型コロナワクチンと飲み薬の治験をベトナムで進めるほか、ワクチンの製造技術移管に向けて具体的な協議に入ると発表したことが材料視されました。

旭化成(3407)も3.6%高となりました。2025年に再生可能エネルギー由来の電気で水素を作ることができる装置を商用化し、水素価格を現行の約3分の1へ引き下げることを目指すと伝わったことで大幅高となりました。業務スーパーを展開する神戸物産(3038)も3.2%高となりました。新規出店の継続や緊急事態宣言の解除にともなう飲食店の営業時間制限の緩和などが寄与し10月の売上高が前年同月比で14.8%増となったことが好感されました。

鉄道車両向け電子機器を手掛ける東洋電機製造(6505)も15.0%上昇しストップ高となりました。再生可能エネルギー関連の技術開発を手掛ける音力発電などと協業し2022年夏をめどに循環型波力揚水発電を実用化すると伝わったことで買いを集めました。また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがジーエス・ユアサ コーポレーション(6674)やノーリツ鋼機(7744)で、ジーエス・ユアサ コーポレーションが投資判断と目標株価の引き上げを受けて2.9%高となり、ノーリツ鋼機も目標株価の引き上げを受けて10.8%高となりました。

一方でANAホールディングス(9202)が5.6%安となりました。ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債)で1500億円を調達すると発表したことで将来的な株主価値の希薄化や株式需給の悪化を懸念する売りが出ました。ニトリホールディングス(9843)も11月の既存店売上高が客数の減少により前年同月比で6.7%減となり7ヶ月連続で前年割れとなったことで4.6%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は196円高となりました。米長期金利の上昇一服を受けて昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が反発したことや、昨日に大幅安となった反動もあって買いが優勢となりました。

昨日に割り込んだ25日移動平均線(29,353円)を回復したことで下値への警戒感は後退しそうですが、その一方で節目の29,500円を引けで上回ることができなかったことで上値の重さも意識されそうです。なお、今晩の米国市場は感謝祭の祝日で休場となります。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)