東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。90円安の29,597円で寄り付いた日経平均は朝方に173円安の29,515円まで下落した後一旦下げ渋りましたが、10時40分過ぎから下げ幅を広げると節目の29,500円を割り込み11時20分過ぎに285円安の29,402円まで下落し236円安の29,451円で前場を終えました。

275円安の29,413円でスタートした後場の日経平均はしばらく29,400円台で推移していましたが、経済対策の規模が伝わると14時頃から急速に持ち直しプラスに転じました。しかし、27円高の29,715円で伸び悩むと引けにかけて売りが優勢となり結局89円安の29,598円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

関西スーパーマーケット(9919)が7.9%高となりました。関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オー リテイリング(8242)グループとの経営統合について差し止めを求めているオーケーが申し立てが認められた場合は1株2,250円で関西スーパーマーケットのTOB(株式公開買い付け)に乗り出すと発表したことで急伸しました。

メガチップス(6875)も16.6%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。持ち分法適用会社の米サイタイム株の株式売却益を計上する見込みとなったことから通期の純利益の見通しを40億円から260億円に大幅に上方修正したことに加え、自己株式を除く発行済み株式数の7.4%にあたる150万株と50億円を上限とした自社株買いを発表したことで買いを集めました。また、工作機械メーカーのOKK(6205)も日本電産(6594)が第三者割当増資を引き受けて子会社にすると発表したことで20.8%上昇しストップ高となっています。

一方でエーザイ(4523)が9.0%安となりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療の「アデュヘルム」について欧州医薬品庁の評価委員会から販売承認に否定的な見解を受領したと発表したことが嫌気されました。ソフトバンクグループ(9984)も一時3.7%安となりました。半導体設計子会社の英アームの売却で合意している米エヌビディア(NVDA)の最高財務責任者(CFO)がアームの買収を巡って米連邦取引委員会が懸念を示していると言及したことで売りが優勢となりました。さらに丸亀製麺などを展開するトリドールホールディングス(3397)も投資判断の引き下げを受けて8.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は昨日の米国市場が利益確定の売りで反落となったことから89円安となりました。政府が19日に閣議決定する経済対策の規模が財政支出ベースで55.7兆円程度と過去最大規模になると伝わると後場に入って急速に持ち直し上昇に転じる場面もありましたが、プラス圏では上値が重く結局小幅に下げて取引を終えています。

昨日は米国株高を受けて買いが先行しながら失速し反落となり、本日は米国株安を受けて続落となるなど、米国市場の上昇に追随できない一方で、米国市場の下落には連れ安するといった展開となっています。こうした嫌な流れを断ち切ることができるかがまずはポイントとなりそうです。

なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数と11月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、19日の午前零時には10月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。また、18日の米国では半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズ(AMAT)が決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)