東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に4日続伸となりました。27円安の29,749円で寄り付いた日経平均は直後に95円安の29,681円まで下落した後持ち直すとしばらく昨日の終値を挟んで小幅に揉み合いましたが、10時50分過ぎに急速に上げ幅を広げると11時前に184円高の29,960円まで上昇しました。しかし、30,000円の大台を前に上値が押さえられると上げ幅を縮め64円高の29,841円で前場を終えました。
67円高の29,844円でスタートした後場の日経平均は直後に88円高の29,865円まで上昇した後上げ幅を縮めると小幅にマイナスとなる場面もありましたが、下げ渋ると持ち直し結局31円高の29,808円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
ジーエス・ユアサ・コーポレーション(6674)が6.6%高となりました。リチウムイオン電池を超えるエネルギー容量を持つ軽量なリチウム硫黄電池の開発に成功したと発表したことが材料視されました。村田製作所(6981)も一時3.5%高となりました。脱炭素化に向けた対応などを強める戦略投資と株主還元に3年で5000億円を充てるとした中期経営計画を発表したことが評価されました。
また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがSUBARU(7270)やオープンハウス(3288)で、SUBARUは投資判断と目標株価の引き上げを受けて5.2%高となり年初来高値を更新したほか、オープンハウスも目標株価の引き上げを受けて2.9%高となっています。さらにフジッコ(2908)も自社株買いと自社株消去を発表したことで4.8%高となっています。
一方で上期決算を発表したリクルートホールディングス(6098)が3.3%安となりました。米求人サイト大手インディードの収益が拡大していることなどから通期の業績予想を上方修正しましたが、株価が昨日に上場来高値を更新していたこともあって材料出尽くしで売りが優勢となりました。美容家電のヤーマン(6630)が一時20.5%下落しストップ安となる場面がありました。上期の業績予想を上方修正しましたが、大幅な増益となった第1四半期の実績からみて物足りないとして売りがかさみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は31円高となりました。米長期金利の上昇が重石となり昨日の米国市場が小幅に反落となったことで売りが先行しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直しプラスに転じると米中首脳のオンライン協議で両国の歩み寄りにつながるような発言が相次いだこともあって上海総合指数や香港ハンセン指数が一時強含んだことから上げ幅を180円余りまで広げる場面もありました。しかし、30,000円の大台を前に伸び悩んだことで30,000円が戻りの壁として改めて意識されることになりそうです。
なお、日本時間の22時30分には10月の米小売売上高が発表されるほか、23時15分には10月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、16日の米国ではホーム・デポ(HD)やウォルマート(WMT)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)