日曜日の日経新聞に「ETFの売買が減少」、「個人への普及が進んでいない」といった記事がありました。「個人、機関投資家ともに取引の裾野が広がっていない」というのです。記事によると2009年度の東京証券取引所の売買代金は前年度に比べ14.7%減り、減少は4年連続とのことです。

個人的には、もし本当にETFの裾野が広がっていないのであれば、それはとてももったいないことだと思います。
ご存じの方が多いと思いますが、ETFについて、あらためてご案内しましょう。

●Exchange Traded Funds の略で「上場投資信託」のこと

●国内外の株価指数、債券指数、商品価格(商品指数を含む)など指数に連動 している

●上場=取引所売買であるため市場価格がリアルタイムに変動する

●指値、成行などの売買注文が可能である

●保有コスト(信託報酬)が低い

●上場株式と同様に信用取引もできる

ETFは指数に連動している「投資信託」ということで、インデックスファンドとの比較検討をされる方も多いかと思います。よく質問もいただきます。
積立をしたい、1000円程度の少額から投資を始めたい、といった方にはインデックスファンドが適しているでしょう。
自身で価格を見ながら購入するのではないため、(投資信託は注文をした時点では自身が購入した基準価額はわかりません。)それだけ「お任せ感」は高くなり、忙しい方や初心者の方により向いていると言えるでしょう。

売買時のコストという点で見ると、インデックスファンドにはノーロードのものが多くなっており、対してETFは上場株式と同様の手数料がかかります。保有中コストは一般的にETFの方が安いですが、長く保有しないのであれば取引手数料合計はインデックスファンドの方が安くなることもあります。

長く保有しない=市場を見ながら機動的に売買したい、というのであれば市場連動で注文ができるETFの方が適しています。
「指数連動」の投資信託は、株式取引に比べ面白みがないという個人投資家もいらっしゃいますが、普段見慣れた日経平均やTOPIXといった指数に連動し、かつそれを見ながら売買ができるETFは市場のダイナミズムも十分に感じられるとも言えるのではないでしょうか。

また株式取引をされる場合、一定以上の資金量がないと銘柄を分散した投資は難しくなりますが、ETFであれば一銘柄であっても分散投資されており、幅広い投資対象があるため、投資信託同様の分散投資が容易に可能です。

日本においては冒頭のように出遅れ感を指摘されるETFですが、世界の市場においては銘柄数、時価総額とも拡大傾向にあります。
個別銘柄への投資は銘柄管理が大変、という理由から投資経験の多い投資家でもあえてETFを選んで投資しているという話も聞いたことがあります。

投資信託、ETFそれぞれに長所短所がありますが、自分自身の投資資金量や投資方法によって上手に組み合わせてみてはいかがでしょうか。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー