東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続伸となりました。103円高の29,381円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分弱で383円高の29,661円まで上昇した後10時過ぎに250円高の29,528円まで上げ幅を縮めましたが、節目の29,500円を割り込まなかったこともあって持ち直すと334円高の29,612円で前場を終えました。

304円高の29,581円でスタートした後場の日経平均は14時前に275円高の29,553円までやや弱含んだ後引けにかけて上げ幅を広げると大引け間際に374円高の29,652円まで上昇し結局332円高の29,609円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したシチズン時計(7762)が9.5%高となりました。北米での時計販売が電子商取引(EC)と実店舗ともに好調だったことや、半導体向けの工作機械も伸びることなどから通期の営業利益の見通しを138億円から市場予想を上回る172億円に上方修正したことで買いを集めました。

上期決算を発表し未定としていた通期の業績予想を開示したパーソルホールディングス(2181)も7.8%高となり年初来高値を更新しました。人材派遣や転職市場の回復が進んでいることから通期の営業利益が480億円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年3月期の水準を超えて過去最高となるとの見通しを発表したことで大幅高となりました。

丸井グループ(8252)も上期の営業利益が小幅ながら増益を確保したことや、消却前の発行済み株式の6.71%に相当する1500万株の自己株式の消却を発表したこともあって4.2%高となり年初来高値を更新しています。また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%近く上昇した流れを受けて日本市場でも半導体関連銘柄が堅調で、なかでもレーザーテック(6920)が4.3%高となっています。

一方で楽天グループ(4755)が一時3.3%安となりました。他社から通信回線を借りる費用の負担などで携帯通信事業の事業損益の赤字が過去最大になったことなどから第3四半期の営業損益が1083億円の赤字となり前年同期から赤字幅が拡大したことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は332円高となりました。昨日の米国市場でハイテク株に買い戻しが入りナスダック総合株価指数が反発となったことで大幅高となりました。節目の29,000円近くまで下げた後プラスに転じた昨日に続いて本日も上昇となり節目の29,500円を上回ってきたことで目先の調整一巡感が強まりそうですが、29,500円を超えて30,000円の大台が意識されると上値が重くなる傾向もみられるだけに来週はここからさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に東京エレクトロン(8035)や日本郵政3社、みずほフィナンシャルグループ(8411)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などが決算を発表する予定です。また、週明け15日の8時50分には7-9月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)