東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに反発しました。米国株安を受けて60円安の29,046円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ安値に持ち直しまもなくしてプラスに転じると10時30分頃から一段高となり11時20分前に229円高の29,336円まで上昇し218円高の29,325円で前場を終えました。
223円高の29,330円でスタートした後場の日経平均は13時40分過ぎに119円高の29,226円まで上げ幅を縮めた後戻すと結局171円高の29,277円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
三越伊勢丹ホールディングス(3099)が4.9%高となりました。第2四半期3ヶ月間の最終損益が3四半期ぶりに黒字転換したことや、2025年3月期に350億円の営業利益を目指す中期経営計画を発表したこともあって大幅高となりました。また、アイフル(8515)も第2四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で38.5%増となり第1四半期の9.8%減から増益に転じたことで7.7%高となっています。
さらにリゾートトラスト(4681)も上期決算を発表しホテルやメディカル事業の会員権販売が好調に推移していることから通期の営業利益の見通しを70億円から80億円に引き上げたことで6.0%高となり年初来高値を更新したほか、凸版印刷(7911)も事業者や自治体の間接業務を請け負う事業が好調で通期の営業利益の見通しを上方修正したことで8.1%高となっています。昭和電工(4004)も電炉向け黒鉛電極の出荷が伸びたことなどから第3四半期の営業利益が719億円となり通期予想に対する進捗率が84.7%となったことから業績の上振れを期待した買いで6.9%高となりました。
一方で第3四半期決算を発表した資生堂(4911)が3.8%安となりました。第3四半期9ヶ月間の営業利益は前年同期比で2.9倍となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で73.7%減と減益に転じたことが嫌気されました。同じく第3四半期決算を発表したアサヒグループホールディングス(2502)も緊急事態宣言の影響で業務用ビール類などが振るわなかったことなどから通期の事業利益の見通しを下方修正したことで3.9%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は171円高となりました。米消費者物価指数(CPI)が高い伸びとなったことでインフレ懸念が強まり昨日の米国市場が続落となったことから売りが先行しましたが、節目の29,000円を前に下げ渋ると昨日までの4日間で700円近く下げていたこともあって買いが優勢となりました。
29,000円近辺まで下げた後プラスとなったことで目先の調整一巡との期待も出てきそうですが、5日移動平均線(29,357円)を前に伸び悩んだことから上値の重さも引き続き意識されそうです。なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にスズキ(7269)や住友不動産(8830)、楽天グループ(4755)、ブリヂストン(5108)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)