東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日続落となりました。76円安の29,209円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで129円安の29,155円まで下落した後持ち直すとプラスに転じる場面もありましたが、11円高の29,296円で上値が押さえられると前引けにかけてやや下げ幅を広げ88円安の29,197円で前場を終えました。

138円安の29,147円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げると大引け間際に205円安の29,079円まで下落し結局178円安の29,106円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表した日産(7201)が7.5%高となりました。販売奨励金の減少や持ち分法適用会社の投資利益の改善を受けて通期の営業利益の見通しを1500億円から市場予想を上回る1800億円に上方修正したことで買いを集めました。同じく上期決算を発表したコスモエネルギーホールディングス(5021)も原油高による在庫評価益に加え、石油製品のマージンが改善することなどから通期の営業利益の見通しを930億円から市場予想を上回る1550億円に引き上げたことで4.3%高となっています。

NTTデータ(9613)も5.0%高となり年初来高値を更新しました。通期の業績予想は据え置きましたが、海外事業の構造改革によって利益率が改善したうえ、国内でデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を受けて採算性の高い案件が増えたことなどから上期の営業利益が前年同期比で71.0%増と大幅な増益となり市場予想を上回ったことが好感されました。

一方でキリンホールディングス(2503)が6.2%安となり年初来安値を更新しました。広告費などブランド投資費用がかさんだことなどから第3四半期の事業利益が前年同期比で9.4%減となり、通期予想に対する進捗率も69.4%に止まったことから計画未達を懸念した売りが出ました。ディー・エヌ・エー(2432)もライブストリーミング事業やゲーム事業の推移などに応じて変動する支払手数料等が増加したことなどから上期の営業利益が前年同期比で36.2%減と大幅な減益となったことで売りがかさみ13.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は178円安となりました。昨日の米国市場が利益確定の売りが出て反落となったことで売りが優勢となりました。また、大規模な自社株買いを発表したことで昨日に大幅高となったソフトバンクグループ(9984)が大きく下げたことや、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)といった半導体関連株の下げも重石となりました。

昨日までの3日間で500円以上下落していたこともあって前場にプラスとなる場面もありましたが、昨日の終値をわずかに上回ったところで伸び悩むと後場に入って下げ幅を広げました。そのため引き続き上値の重さが意識されそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に三越伊勢丹ホールディングス(3099)や三菱地所(8802)、NTT(9432)、セコム(9735)などが決算を発表する予定です。さらに日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や10月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)