東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続落となりました。123円高の29,735円でスタートした日経平均は寄り付きを高値に上げ幅を縮めると9時40分頃にマイナスに転じ10時20分過ぎに93円安の29,518円まで下落しましたが、前引けにかけて持ち直すと21円安の29,590円で前場を終えました。

30円安の29,580円でスタートした後場の日経平均は13時10分過ぎに99円安の29,512円まで下落した後一旦下げ渋りましたが、安値圏で推移すると大引けにかけて下げ幅を広げ結局104円安の29,507円で取引を終え安値引けとなっています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

製薬大手の米ファイザー(PFE)が開発中の新型コロナウイルス向け飲み薬の投与により入院や死亡するリスクを約9割減らせたとの治験データを公表したことで先週末の米国市場で旅行関連株が買われた流れを受けて日本市場でも空運株や旅行会社株が高く、日本航空(9201)が5.2%高、ANAホールディングス(9202)が4.3%高となったほか、オープンドア(3926)が8.9%高、HIS(9603)が6.1%高、KNT-CTホールディングス(9726)が2.9%高となり、オープンドアは年初来高値を更新しています。

また、先週末の引け後に上期決算を発表したオリンパス(7733)が6.0%高となり上場来高値を更新しました。新型コロナウイルス禍で延期されていた病院での検査や治療の再開で主力の内視鏡や治療機器の販売が想定以上に伸びることなどから通期の営業利益の見通しを1400億円から市場予想を上回る1440億円に引き上げたことが好感されました。IHI(7013)も発電所の耐震基準引き上げに伴う更新工事が伸びたことや、新型コロナウイルス禍からの経済再開で工場設備の受注も回復していることなどから上期の営業利益が270億円前後の黒字となったと伝わったことで5.1%高となっています。

一方で上期決算を発表したJFEホールディングス(5411)が11.3%安となりました。北米の鋼材市況が好調で商社部門による鋼材販売が上向くことなどから通期の純利益の見通しを2400億円から2500億円に引き上げましたが、市場予想に届かなかったことで急落となりました。上期決算を発表したミクシィ(2121)も18.2%下落しストップ安となりました。スマホゲームのモンスターストライクが伸び悩んだことなどで通期の営業利益の見通しを120億円から20億円に下方修正したことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は104円安となりました。市場予想を上回った米雇用統計を好感して先週末の米国市場が上昇し主要3指数が揃って史上最高値を更新したことから買いが先行しましたが、寄り付きを高値に伸び悩むとマイナスに転じました。そのため上値の重さが意識されそうですが、こうしたなかでさらに水準を切り上げることができるかが今週はポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後に住友金属鉱山(5713)やいすゞ(7202)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)