保険というと「勧められて加入するもの」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?そのため、積極的に保険の組み立てを検討していない方も一定数いるのではないかと思います。とはいえ、個人のライフプランにおいて保険は全く必要ない、ということではありません。
日本の社会保障制度の下、日本国民の生存権として「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と日本国憲法第25条で定められています。
人間が社会生活を営む中で、怪我や病気になったり、また事故や事件に巻き込まれる、といったリスクに見舞われることがあります。そのため、多くの方が「万一の備え」として民間の保険商品に加入しています。
そのようなリスク以外に、全ての人が向き合うことになるのが「老い」でしょう。その「老い」に対するリスクをカバーしている制度が公的年金です。しかし、公的年金だけでは心許ないと感じている方も多くいます。そこで、今回は終活の観点から「老いとリスク対策」について考えることを目的とした保険の見直しについて解説します。
なぜ保険に入るのか?目的意識を持つことが大切
2021年9月現在、日本国民における保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.8%(※)と言われています。つまり全国民のうち約9割の世帯が保険に加入しているわけですが、果たしてどのくらいの方が「目的」を見据えて加入しているのでしょうか。
ご自身の保険の保障内容について、下記のような質問があった場合、答えられるでしょうか?
・死亡保険ですか?生存保険ですか?
・死亡保障は病気の時ですか?災害の時ですか?
・保険期間は一生ですか?期間限定ですか?
最低限これらの質問には回答できるようにしておきたいものです。その理由は、例えば子供が独立するまでの間手厚い保障がほしいと思った場合、保険は「期間」として捉え、それに見合った保障内容を整えないと目的に到達しない可能性があるからです。
「何のために私は保険に入るのか?」、この視点を持つことが重要です。一般的に、保険に加入する目的には以下のような種類があります。
・死亡した時
・介護状態になった時
・入院した時
・大きな病気で長期間の治療が必要な時(癌など)
・老後の生活資金
・障がい者状態になった時
これらの目的全てに対して備えることができれば理想的ですが、家庭環境、将来のライフプランによって人それぞれ必要な備えは異なります。そこで、自分自身にとって大切なことは何か?といった視点を持ち、優先順位をつけることが重要です。
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保険の見直しポイント1:医療保障について
医療保険を考える上で知っておきたいのが1回の入院における日数制限です。(〇〇日型などと表現されます)。医療保険では、ある病気で入院して一度退院した後、同じ病気が原因で180日以内に再入院することになった場合、最初の入院と2回目の入院を合算して1つの入院として扱います。
例えば、45日間入院し、退院後100日経過した後に同じ病気で再び再入院(45日)することになったケースで考えてみましょう。この場合、日常生活では「45日間の入院を2回した」と考えますが、医療保険では最初の入院と同じ病気(因果関係があれば同じ病気と見なすケースが多い)で再入院した場合、最初の退院から再入院までの期間が180日を経過していないため、最初の入院と再入院を合算して考えます。
つまり、最初の入院45日と再入院45日を合わせて1入院と考えると、入院日数は90日となります。そうすると、例えば60日型(1入院60日が限度)の医療保険では30日分が保障されないことになります。このような観点でご自身の保険を見直してください。
また新型コロナウィルスによる入院も対象です。余談ですがコロナによるホテルや自宅待機も要件を満たした場合対象になります。
保険の見直しポイント2:介護保険について
最近は介護保険が注目されつつあります。保険約款記載の一定の介護状態になった場合に保険金が支払われます。
・公的介護状態に連動した条件を採用する商品
・独自の基準で支払う商品
ただし、支払要件が保険会社により異なるため、よく確認する必要があります。
公的介護状態に連動しているタイプは支払い条件がわかりやすいのが特徴です。ただ公的介護状態連動ということは、まず公的介護保険の被保険者である必要があります。
独自基準の保険商品は、保障内容をよく確認すること大切です。そして公的介護保険が適用されるか否かは問わないのが特徴です。
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保険の見直しポイント3:最も重要な「受取人の確認」について
「受取人」とは、保険事故(保険が支払われる事態)が起こった際に保険金(給付金)」を受け取る人のことを指します。
保険会社は「受取人」にのみ、保険金を支払います。たとえ受取人より被保険者に近い人がいたとしても、受取人に指定されていなければ保険会社は保険金を支払いません。
そのため「受取人」にあらかじめ自分が保険に加入し、「あなたが受取人です」、と伝えておいたほうが良いでしょう。
2012年から2013年にかけて大手保険会社が90歳以上の生存者確認をしたところ、8%の方が亡くなっているにも関わらず、保険の請求がなかったそうです。なぜそうなるのかというと、保険の保険料を60歳頃に払い終わった後、一生涯続く保障に加入していることを忘れる人が多いためです。90歳で亡くなった際、家族は通帳で取引履歴を調べることができますが、すでに払込を終了していると取引実績の記録も古くなり、気づかない場合が多いのです。
保険に入る時、「ゆくゆくは〇〇に受け継ぎたいから」という目的があって加入したものの、実際その時期を迎える頃にその目的が適わないのは非常に残念なことです。そのために受取人に伝えておく、そしてエンディングノートにも意思を明記しておくことが重要です。
終活の観点からまずは自分で保険の見直しを確認し、その後プロにしっかり相談するなど、ぜひこの機会に検討してみてください。
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