東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は8日続落となりました。日経平均は米国株高を受けて211円高の28,033円で寄り付くと取引開始から30分余りで387円高の28,209円まで上昇しましたが、買いが続かず上げ幅を縮めると10時10分過ぎにマイナスに転じ10時50分過ぎに346円安の27,475円まで下落し278円安の27,544円で前場を終えました。
さらに下げ幅を広げ438円安の27,383円でスタートした後場の日経平均はまもなくして528円安の27,293円まで下落した後持ち直すと結局293円安の27,528円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
太平洋セメント(5233)が7.4%高となりました。製造時に燃料として使う石炭が高騰していることから2022年1月の出荷分からセメントを1トンあたり約18%値上げすると伝わったことで収益の改善を期待する買いを集めました。アパレル大手のTSIホールディングス(3608)も6.7%高となりました。商品の仕入れを抑えて値引き販売を減らしたことや、電子商取引(EC)事業を強化したことなどが寄与し赤字を見込んでいた上期の営業損益が黒字を確保したことが好感されました。
日本金銭機械(6418)も一時8.3%高となりました。米国で新型コロナウイルス向けのワクチン接種が進みカジノ向けの紙幣識別機の販売が想定よりも早く回復したことや、欧州で非接触・非対面型で決済できるセルフレジの需要が拡大したこともあって上期の営業損益の見通しを3億円の赤字から3億円の黒字に上方修正したことで大幅高となりました。
また、WTIの原油先物価格がほぼ7年ぶりの高値を付けたことで昨日に続いて石油関連株が高く、資源開発大手のINPEX(1605)が3.5%高となり年初来高値を更新したほか、石油元売り大手の出光興産(5019)も5.4%高となり年初来高値を更新しています。さらに米長期金利の上昇を受けて昨日の米国市場で大手金融株が買われた流れを受けてメガバンクが高く、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が4.0%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が2.4%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が2.2%高となっています。
一方で武田薬品工業(4502)が6.4%安となりました。これまでの臨床試験で発見されていなかった有害事象が確認されたため睡眠障害治療薬の第2相臨床試験を中断すると発表したことが嫌気されました。さらに生産台数の下振れ懸念から自動車株が安く、トヨタ(7203)が3.3%安、日産(7201)が5.6%安、マツダ(7261)が5.1%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は293円安となりました。主力ハイテク株に買い戻しが入り昨日の米国市場が大幅反発となったことで買いが先行し節目の28,000円を上回る場面もありましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮め下落に転じました。一時400円近く上げる場面があったにも関わらずプラスを維持できずに下落に転じたことで上値の重さが強く意識されそうで一段と下値への警戒感が強まりそうです。
なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の上期決算発表が本格化していますが本日も引け後にイオン(8267)やウエルシアホールディングス(3141)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時15分には週末に発表される米雇用統計の前哨戦とみられている9月のADP全米雇用リポートが発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)