運用は余裕資金で、とよく言います。実際のところ、生活資金をリスクの高い金融商品に投入してしまうことで、結果として生活資金が足りなくなる、といったことは十分に考えられます。

短期的に大きく「当て」ようと、値動きの激しい金融商品に「賭け」て、集中投資をしたり、レバレッジを最大までかけるような投資スタイルは、それこそ「当たれば」大儲けとなりますが、大きくマイナスになる可能性も高いのです。

「投資はある程度まとまった資金がないと始められませんよね。」
「投資をする余裕はありません。」
と言われる方も多いです。余裕資金=投資資金=まとまった資金と考えられるためでしょう。

たしかに個別株を購入しようとすると、銘柄によっては最低単位でも数百万円もするようなものもあります。ですが、投資=購入単価の高い個別株ではありません。中には1万円以下で購入できる上場株式(ETFを含む)もあります。ミニ株であれば、そもそもの購入単位(単元株数)の10分の1から購入できるので、当然投資単価は低く抑えられます。

投資は分散投資をするほうが、リスクは抑えられることはご存知ですよね。とはいうものの、投資金額が小さいと分散は難しくなる傾向はあります。そういうときは元々分散投資されている商品である投資信託やETFを利用することで、1万円程度からでも十分に分散投資をすることができるのです。

つまり、投資はけっしてまとまった資金がなくても行えるということです。投資する商品の商品性を理解して選ぶことも大切です。一極集中投資をしない、投資信託の中でもコストの低いもの、値動きの安定性の高いものを選ぶ、などをすることで必要以上に高いリスクを負わないようにすることもできます。
一攫千金とはならないかもしれませんが、預金などでお金を寝かしていることに比べれば、時間の経過とともに差が出てくる可能性は高いといえるでしょう。

日々の生活の中から1万円を捻出するのも大変!という方もいらっしゃるかもしれません。もしかしたら口座残高とお財布の中だけを見ているということはないでしょうか?本当に生活の中に無駄がないか、もう一度見直してみてはいかがでしょう?

たとえば、天引きされているガス・水道・光熱費。つけっぱなし、出しっぱなし・・・無駄な使い方をしていることはないでしょうか?
意外と大きい通信費、本当に自分にあったプランに変えることで月に何千円も違うこともあるようです。
ついつい立ち寄ってしまうコンビニで、余計な買い物はしていませんか? 天引きされていて忘れがちなのは、生命保険料。本当に必要十分な保険に加入しているでしょうか?年換算すると大きな差が出ます。
めったに乗らない自動車。実は大きな固定費(駐車場、保険その他)の元凶になることも。

ちょっと挙げただけでも、思い当たる点があるとは思いませんか?ガチガチの節約を勧めるつもりはありません。楽しい趣味を削ることもないと思います。でも気がつかないうちに流れ出てしまうお金は誰にでもあるものです。1ヶ月でも出費メモ(家計簿なら、なお良しですが)を付けてみれば発見があるかもしれませんね。

ちょっとしたお金をシェイプアップすることで、生活資金以外で投資をする程度の資金は作れそうです。計画的にその積み重ねをすることで、将来の資産に差がつくかもしれません。

廣澤 知子

マネックス証券 シニア・フィナンシャル・アドバイザー