【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,764.82  △506.50 (9/23)
NASDAQ: 15,052.24  △155.40 (9/23)

1.概況

22日の米国市場はFOMCの結果がほぼ市場の予想通りの内容となったことで安心感が広がり上昇しました。87ドル高でスタートしたダウ平均は昼前に500ドル高程度まで上昇した後一旦伸び悩みましたが、午後に入ってFOMCの結果が発表されると再び上げ幅を広げると一時は520ドル高まで上昇する場面もありました。その後引けにかけて上げ幅を縮めたダウ平均ですが結局338ドル高の34,258ドルで取引を終え5日ぶりに反発となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も150ポイント高の14,896ポイントと続伸となりました。

昨日の米国市場はFOMCを無難に通過したことを好感した買いが続いたことや、中国当局が中国不動産大手の中国恒大集団に対し当面ドル建て社債のデフォルトを回避するよう指示したと伝わったこともあって債務問題への警戒感が一旦後退したことなどから大幅続伸となりました。37ドル高でスタートしたダウ平均は上げ幅を大きく広げ午後に621ドル高まで上昇した後引けにかけて上げ幅を縮めましたが結局506ドル高の34,764ドルで取引を終え続伸となっています。また、ナスダック総合株価指数も155ポイント高の15,052ポイントとなり3日続伸となっています。

2.経済指標等

22日まで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きを決めました。声明文では景気回復が予想通りに進めば資産購入ペースの縮小が近く正当化されると明示し、パウエル議長は記者会見でテーパリング(量的緩和の縮小)開始を早ければ次回11月にも決めると表明しています。さらに参加者らの政策金利見通し(ドット・チャート)では利上げ開始時期が2022年に前倒しとなり、2023年の利上げ回数も2回から3回に引き上げられ、2024年も3回の利上げを見込む内容となっています。また、22日に発表となった8月の米中古住宅販売件数は年率換算で前月比2.0%減の588万戸に止まり市場予想を下回りました。

昨日発表された先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万6000件増の35万1000件となり改善を見込んでいた市場予想に反して悪化しました。9月の米製造業PMI速報値も60.5と前月から低下し市場予想を下回りました。一方で8月の米景気先行指標総合指数は前月比0.9%上昇し市場予想を上回っています。

3.業種別動向

22日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、エネルギーが3%余り上昇したほか、金融と情報技術、一般消費財・サービス、素材も1%以上上げています。一方で公益事業とコミュニケーション・サービスの2業種が下げています。

昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、エネルギーが3%を超える上昇となったほか、金融も2%以上上げました。また、資本財・サービスと素材、情報技術、一般消費財・サービスも以上上昇しています。一方で不動産と公益事業の2業種が下げています。

4.個別銘柄動向

22日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中25銘柄が上げました。そのなかでもボーイング(BA)が4%余り上昇したほか、シェブロン(CVX)も3%近く上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、ネットフリックス(NFLX)が目標株価の引き上げを受けて3%以上上げています。一方でフェイスブック(FB)がアップル(AAPL)の基本ソフトiOSの個人情報に関する新たな変更でターゲティング広告配信が想定より制限されていると発表したことで4%近く下げています。バイオ製薬のバイオジェン(BIIB)もエーザイ(4523)と共同開発しているアルツハイマー型認知症治療薬の販売が会社の想定よりも厳しいと伝わったことで2%以上下げました。物流大手のフェデックス(FDX)も通期の1株利益の見通しを引き下げたことなどで9%余り下落しています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄はコカ・コーラ(KO)とユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、ホーム・デポ(HD)を除く27銘柄が上げました。そのなかでもセールスフォース・ドットコム(CRM)が通期の売上高見通しを引き上げことなどで7%以上上げ上昇率トップとなりダウ平均を1銘柄で120ドル以上押し上げました。また、アメリカン・エキスプレス(AXP)とJPモルガン・チェース(JPM)も3%以上上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、外食のダーデン・レストランツ(DRI)が決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで6%余り上昇しました。クルーズ船大手のカーニバル(CCL)も10月末までに旅客輸送能力の50%以上を運航させる見通しを発表したことで4%以上上げています。

5.為替・金利等

22日の長期金利は0.02%低い1.30%となりました。昨日の長期金利は中国恒大集団の債務問題への懸念が後退したことや米国株高を受けて安全資産とされる米国債が売られ0.13%高い1.43%となりました。こうしたなかドル円は円安に振れ110円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が大幅続伸となりダウ平均が2日間で840ドル以上上げたことから大きく上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は30,000円の大台を回復しそうで、30,000円を超えてどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)