東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反落となりました。478円安の30,021円で寄り付いた日経平均は直後に667円安の29,832円まで下落した後9時30分過ぎに449円安の30,051円まで持ち直しましたが、30,000円の大台を上回ったところでは上値が重く再び下げ幅を広げると601円安の29,898円で前場を終えました。

620円安の29,879円でスタートした後場の日経平均は14時30分過ぎに500円安の29,999円まで持ち直しましたが、30,000円を前に上値が押さえられるとその後引けにかけて下げ幅を広げ結局660円安の29,839円と本日の安値圏で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

第一三共(4568)が7.7%高となりました。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で公表した抗がん剤「エンハーツ」の非小細胞肺がんや胃がんなどに対する臨床試験の結果が期待を上回る良好な内容だったことが好感されました。研削工具を手掛ける旭ダイヤ(6140)も15.3%高となり年初来高値を更新しました。半導体や工作機械向けの需要が想定以上に好調だったことなどから上期の業績予想を上方修正したことで買いを集めました。

また、政府が今月末に期限を迎える19都道府県への緊急事態宣言について解除する方向で検討に乗り出したと伝わるなか日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が高く、日本航空が4.5%高となり、ANAホールディングスも2.5%高となりました。さらに串カツ田中ホールディングス(3547)や鳥貴族ホールディングス(3193)も高く、串カツ田中ホールディングスが5.2%高、鳥貴族ホールディングスも4.1%高となっています。

一方でTOTO(5332)が6.1%安となりました。中国恒大集団のデフォルト懸念や中国での不動産取引の規制強化などによる中国の住宅市場の先行きに不透明感が強まるなか中国事業に悪影響が出るとの懸念から売りが出ました。中国リスクが意識されるなか傘下のファンドを通じて中国などのスタートアップ企業へ投資するソフトバンクグループ(9984)にも売りが出て5.0%安となったうえ、中国関連株のコマツ(6301)やファナック(6954)、安川電機(6506)なども安く、コマツが5.4%安、ファナックが4.0%安、安川電機も4.4%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は660円安となりました。デフォルト懸念から中国の不動産大手の中国恒大集団が香港市場で急落しハンセン指数が大幅下落となったことで昨日の米国市場が大幅続落となったことから売りが優勢となり大きく下げ幅を広げました。

30,000円の大台を割り込んだことで下値への警戒感もやや意識されそうですが、その一方で25日移動平均線(28,883円)との乖離率が先週末の5.9%から3.3%まで下がるなどこのところの急ピッチでの上昇で強まっていた短期的な過熱感も大きく低下していることから懸念材料が後退すれば買いも入りやすいともいえそうです。

なお、日本時間の21時30分には8月の米住宅着工件数や4-6月期の米経常収支などが発表される予定です。また明日は金融政策に変更はないとみられますが昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)