【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,607.72 ▼271.66 (9/10)
NASDAQ: 15,115.49 ▼132.76 (9/10)
1.概況
先週末の米国市場は米卸売物価指数が大きく上昇したことによるインフレ懸念や新型コロナウイルスの感染拡大で景気の回復が遅れるとの懸念などから続落となりました。ダウ平均は70ドル高でスタートすると直後に224ドル高まで上昇しましたが、買いが続かずまもなくしてマイナスに転じると160ドル安余りまで下落しました。その後一旦持ち直し昼過ぎにプラスに転じる場面もありましたが、前日終値を小幅に上回ったところで伸び悩むと再び下落に転じ下げ幅を広げました。結局ダウ平均は271ドル安の34,607ドルと安値圏で取引を終え5日続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も132ポイント安の15,115ポイントと3日続落となっています。
2.経済指標等
8月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比で8.3%上昇し比較可能な2010年11月以降で最大の伸びとなり市場予想も上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも公益事業と不動産が1%以上下落したほか、情報技術とヘルスケア、コミュニケーション・サービスも1%近く下げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が下げました。そのなかでもアプリ配信や課金の仕組みが反競争的だと訴えられていた裁判でカリフォルニア州の連邦地裁が課金ルールの見直し命令を出したことでアップル(AAPL)が3%以上下げ下落率トップとなったほか、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)とウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)も2%を超える下落となりました。ボーイング(BA)とセールスフォース・ドットコム(CRM)、シスコシステムズ(CSCO)、JPモルガン・チェース(JPM)、ビザ(V)、トラベラーズ(TRV)も1%以上下げています。一方でインテル(INTC)が1%近く上昇し、マクドナルド(MCD)やダウ(DOW)なども小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では医療保険のシグナ(CI)が投資判断の引き下げを受けて4%を上回る下落となっています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は米卸売物価指数が大きく上昇したことによるインフレ懸念から0.04%高い1.34%となりました。ドル円は109円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。短期的な過熱感が強く利益確定の売りが出やすいなかで日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)