前週の9月1日から今週の7日にかけて日経平均は大幅高となっていますが、いつものように前回のコラムで指摘したことを振り返りながら検証すると同時に、今後の展開について考えていきたいと思います。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※赤い丸=埋まっていない窓、青い丸=埋まった窓

前回の振り返り

前回のコラムでは、「8月31日の終値を中心にして上下を見ますと、上には「7月13日と14日にあけた窓」、さらに上の水準にある「6月16日と17日にあけた窓」があり、下には「2020年12月23日と24日にあけた窓」と「2020年12月28日と29日にあけた窓」の計4つの窓が挙げられます」と指摘していました。

また、「上の水準にある窓を埋めるとした場合に必要になるのが、上値の抵抗線や下向きの75日移動平均線を終値で上回って維持することです」とも書きました。

果たして日経平均ですが、9月1日に窓をあけて上昇して始まった後、下向きの75日移動平均線に接近し、終値で上回っているのが分かります。また、翌9月2日は小動きでしたが、75日移動平均線上を維持して終えていたのです。

このように、9月2日の時点で売り圧力に負けずに75日移動平均線を下回ることなく維持できたことが翌9月3日の大幅高につながると同時に、2020年2月16日と3月18日の各終値を結んだ上値の抵抗線を明確に上抜く結果につながったのではないかと思われます。

窓が3つも発生、それぞれの窓はどの種類の窓なのか

ただ、この9月3日に大きなニュースが飛び込んできたことも忘れてはいけません。そのニュースとは、菅首相の自民党総裁選不出馬です。

この時点で既に自民党総裁選は9月17日に告示、9月29日が投開票と、スケジュールも発表されていた中での出来事でしたので、現総裁が出馬しないと表明したことにマーケットは驚きを隠せませんでした。なぜなら、事実上の辞任を示唆することになるからです。

ただ、株式市場はこのニュースをポジティブと捉え、前述のように株価の大幅高につながったのでした。

そしてさらに休み明けの9月6日、7日にもそれぞれ窓をあけて上昇し、9月7日の取引時間中には日経平均が一時3万円台を回復する場面があるなど、上昇の勢いが止まらない状況となっています。

このように菅首相の自民党総裁選不出馬の報道を受け、株式市場は上昇に拍車がかかっているわけですが、この期間に発生した3つの窓は、それぞれどの種類の窓と考えられるのでしょうか。

私は、これらの窓は全てコモンギャップ(=普通の窓)ではないかと考えています。なぜなら、過去の値幅の範囲内で発生している窓だからです。

また、窓が3つ発生していますが、これらの窓はいわゆる「三空」ではないと考えています。理由は、3つの窓が連続して発生していないからです。「三空」は、3つの窓が日にちを開けずに連続して発生するものと考えますので、今回のように1つ目の窓と2つ目の窓の間に数日挟んで発生しているケースは「三空」ではないと考えています。

今後の展開について

では今後の展開についてです。今回発生した3つの窓がコモンギャップだとした場合、早い時期に埋まることが考えられますので、上昇が一服した後の値動きには注意が必要になるのではないでしょうか。

例えば、9月8日の高値を超えられずに上値が重たくなったり、接近してくる5日移動平均線を下回ったりした場合です。

仮に9月8日の高値を超えられずに反落するようですと、9月6日と7日の間にあけた窓を埋めることが考えられます。また、6月15日の終値近辺まで下落が続くかもしれません。

一方、この水準で止まったり、割り込んでも上昇してくる5日移動平均線上で反発したりするようだと、再び3万円台を目指す展開が期待されます。

その反面、5日移動平均線を割り込むと同時に5日移動平均線が下向きに変化した場合は、8月31日と9月1日の間にあけた窓を埋める水準まで下落することも視野に入ります。そのような展開になった場合、買いポジションを持っている投資家は要注意です。

また、高値を更新する展開が続いた場合でも9月10日がメジャーSQとなりますので、SQ後のトレンド転換に注意する必要があるのではないかと思われます。