1日で2000億ドル超の時価総額が吹き飛んだエヌビディア[NVDA]

S&P500は先週3週連続での下落となりました。また6日間連続での下げでもあるのですが、これは2022年10月以来の最長の下げの期間となっています。

先週1週間では、S&P500は3.05%の下げ、ナスダック100は5.36%の下げで終えています。先週米国株が下げた理由は、大きく3つあります。まず1つ目は「ハイヤー・フォー・ロンガー」(higher for longer)と言われる金利の高止まり。つまり、利下げの先送りを示唆する経済指標が連続して発表され、それらのデータを受けたFRB(米連邦準備制度理事会)高官たちによる金利の高止まりをサポートするコメントがエコーのように出てきたことです。

そして2つ目は、中東におけるイスラエルとイランの武力衝突からくる地政学リスクが高まっていることです。

3つ目として、発表が始まった第1四半期決算では、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング[ASML]、台湾の半導体メーカーの台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]の決算発表に対する失望感が起きたことです。

これにより半導体銘柄に売りが集まり、世界が注目するAI銘柄としてこれまで市場を牽引して来たエヌビディア[NVDA]の株価は先週4月19日(金)1日で10%下落、2120億ドルの時価総額を吹き飛ばしてしまいました。半導体メーカーのインテル[INTC]の時価総額は1460億ドルですから、軽くインテル1社を超える価値が1日で消えてしまったのです。これは1日で時価総額が消失した記録では史上2番目となっています。1位の記録は2022年2月3日にメタ・プラットフォームズ[META]が予想を大きく下回った決算発表を行い、株価が1日で26%下落、2520億ドルの価値を喪失した時です。

調整は年3回程度起きるもの

私はこのところのマーケットについて、2023年9月末から2024年3月末の史上高値まで、休みなしでおよそ28%上がってきており、マーケットはいつ調整があってもおかしくないと同時に、今後の株価が上がるための調整の必要性があることを米国株セミナー等で指摘してきました。

実際に1928年からの長いデータによると、S&P500は1年間で5%以上の調整が年平均3回程度起きてきているのです。ですから5%程度の調整は普通のことだと言えるでしょう。

今週はマイクロソフト、メタも決算発表

今週はテスラ[TSLA]、メタ・プラットフォームズ[META]、アルファベット[GOOGL]、マイクロソフト[MSFT]の決算が予定されています。

今回の業績予想では、アマゾン・ドットコム[AMZN]、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディアの5社について、前年同期比で平均64.3%の増益予想が出されています。期待感も強い中での今週の決算発表は、今後の方向性を決める重要なイベントとなります。

今週の主要銘柄の決算発表予定

4月22日(月) ベライゾン・コミュニケーションズ [VZ]

4月23日(火) ゼネラルモーターズ [GM]、キンバリークラーク [KMB]、ロッキード・マーチン [LMT]、ペプシコ [PEP]、テスラ [TSLA]、テキサス・インストゥルメンツ [TXN]、ビザ [V]

4月24日(水) ボーイング [BA]、ゼネラル・ダイナミックス [GD]、フォード・モーター[F]、アイビーエム[IBM]、メタ・プラットフォームズ、サービスナウ [NOW]

4月25日(木) アメリカン航空グループ [AAL]、キャタピラー [CAT]、コムキャスト  [CMCSA]、アルファベット 、インテル、マイクロソフト

4月26日(金) アッヴィ [ABBV]、シェブロン [CVX]、コルゲート・パルモリーブ [CL]、エクソン・モービル [XOM]