東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に4日続伸となりました。日経平均は71円高の28,522円で寄り付くと取引開始から5分弱で175円高の28,626円まで上昇しましたが、伸び悩むと上げ幅を縮めマイナスに転じ10時20分前には38円安の28,412円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し24円高の28,476円で前場を終えました。

31円高の28,482円でスタートした後場の日経平均は13時過ぎに103円高の28,554円まで上昇した後14時50分過ぎに21円高の28,472円まで上げ幅を縮めましたが、大引けにかけて持ち直すと結局92円高の28,543円で取引を終えています。一方で新興市場は軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

JR西日本(9021)が13.4%安となり年初来安値を更新しました。公募増資などで最大2786億円を調達すると発表したことで株式の需給悪化や希薄化を懸念した売りが出ました。JR東日本(9020)やJR東海(9022)にも売りが波及し、JR東日本が6.9%安、JR東海も4.3%安となっています。さらに私鉄各社や空運株に売りが広がり、小田急電鉄(9007)や京王電鉄(9008)が一時下げ幅を広げ年初来安値を更新したほか、ANAホールディングス(9202)も一時4.4%安となり、昨年増資に踏み切った日本航空(9201)も一時5.3%安となりました。

また、アステラス製薬(4503)も一時3.4%安となりました。筋力が低下する難病向けに開発中の遺伝子治療薬の治験で治験に参加した患者の一人に肝機能の異常値が認められたため投与を一時停止したと発表したことで売りが優勢となりました。

一方で柴田英利社長が半導体の安定供給へ向けて積極投資する方針を明らかにしたことでルネサスエレクトロニクス(6723)が3.8%高となりました。三菱瓦斯化学(4182)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて5.5%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は92円高となりました。米長期金利の低下を受けてハイテク株に買いが入り昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことで買いが優勢となりました。しかし、朝方の買い一巡後に伸び悩むと上げ幅を縮めマイナスとなる場面もありました。

昨日までの3日間で800円以上も上げたことから一旦は上値が重くなるのも当然で、マイナスとなる場面でも一目均衡表の雲の上限(28,405円)を前に下げ渋るなど底堅く、節目の28,500円を回復したこともあって明日以降の展開に期待が持てそうです。なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数などの経済指標が米国で発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)