いよいよ明日は大納会。もうお休みに入られている方も多いかと思います。慌しい年末ですが、市場を見守っている個人投資家の方も少なくないことでしょう。明日はご祝儀相場の大納会となるのでしょうか。それとも・・・

今年は金融業界にとっては本当に厳しい一年でした。年初から波乱相場でスタートしましたが、ピークはやはり秋の米投資銀行の終焉でしょうか。
日経平均はバブル後最安値を更新、原油などのコモディティ価格はこの1年で暴騰、急落という激しい値動きを見せました。ドル円レートも超円高を記録、為替市場では円の独歩高となりました。
世界的な景気低迷により、各国が協調的に利下げを行い、かといって株式市場が好転するには至らず、安定的な運用を好むタイプの個人投資家の方には評価損に苦しめられた1年とも言えます。(私もその一人です・・・)

売りから入れる商品に目覚めた個人投資家の方も多かったのではないでしょうか。投資信託ではベア・タイプ(株価が下落すると利益が出るタイプ)に人気が集まり、FXでも市場を見ながら機動的にショート(売り)を振る方も増えたようです。
こと、FXに関しては各国の金利が下がり、円との金利差=スワップのコストが縮まったこともショートを作りやすい環境になったといえるでしょう。 先物・オプションといった、投資商品の中でも上級者向けと見られていた商品に取り組む方も増えたようです。これも売ることから取引に参加できる商品だからこそですね。もちろん、そのリスクについては充分に理解して取り組む必要がある商品であることに変わりありません。

投資の環境は、残念ながら安定的な上り調子になったと楽観的に宣言できる状況ではないことはご承知のとおりです。
今や景気低迷の大きな波は金融業界だけではなく、実体経済にも波及しています。日本を代表とする製造業やその周辺からも厳しい状況が伝えられています。「雇用」という生活者にとっての最後の砦まで不安定な状況になってしまっていることは本当に深刻です。
職を失うと同時に、住むところも失ってしまう・・・これは最も大きな問題といえるでしょう。日本の企業は社宅を完備しているところも多く、格安な家賃で住居が保障されています。月々の支出において住居費部分はわずかで済んでいるにもかかわらず、その点を有利な点と自覚せず、収入を全てなんらかの消費に回してしまっている方も多いかと思います。そうすると、いざ住居費が何倍もかかる状況になってしまうと、たとえ同程度の収入を得ることができても生活費を工面することが大変です。ましてや収入そのものが途絶えてしまうと本当に「生きていく」ことが難しくなってしまいかねません。
社宅や寮などがある場合は、一般的にかかる住居費を想定してその差額分は貯蓄・投資等に回し、残り部分で生活をする努力をしていきたいですね。 収入が途絶えるリスクについては、できれば3ヵ月~半年分の収入程度の貯蓄をしておくことも、大切なポイントです。
一年を振り返って、ツライ状況は現実ではありますが、そうした経験をもとに新たな投資方法を学んだり、マネープラン・ライフプランを立て直したりと前向きに取り組んでいきたいものですね。

今年最後のコラムが、内容が明るいものにならずに申し訳ありません。来年は明るいお話ができるような、そんな状況になってもらいたいものですね。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
廣澤 知子
マネックス証券 
シニア・フィナンシャル・アドバイザー