【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 35,101.85 ▼106.66 (8/9)
NASDAQ: 14,860.18 △24.42 (8/9)
1.概況
先週末の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は雇用者数が予想以上に増えた米雇用統計を好感して続伸となり史上最高値を更新しましたが、ナスダック総合株価指数は長期金利の上昇を受けてハイテク株に売りが出て5日ぶりに反落となりました。13ドル高でスタートしたダウ平均は取引開始直後に182ドル高まで上げ幅を広げた後伸び悩みましたが、その後も堅調に推移すると結局144ドル高の35,208ドルとなり先月26日に付けた史上最高値(35,144ドル)を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も7ポイント高の4,436ポイントとなり前日に続いて史上最高値を更新しています。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は59ポイント安の14,835ポイントとなりました。
昨日の米国市場も高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は中国などで新型コロナウイルスの感染が再拡大していることが嫌気されたことや、史上最高値を更新した翌営業日ということもあって利益確定の売りが出やすく3日ぶりに反落となりましたが、ナスダック総合株価指数はハイテク株の一角が買われたことで反発しました。21ドル高と上昇してスタートしたダウ平均ですが直ぐにマイナスに転じるとまもなくして170ドル安近くまで下げ幅を広げるなど引けまで軟調に推移し結局106ドル安の35,101ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も4ポイント安の4,432ポイントとなりました。一方でナスダック総合株価指数は24ポイント高の14,860ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週末に発表となった7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比94万3000人増となり市場予想を上回りました。失業率は5.4%と前月の5.9%から低下し市場予想を上回る改善となっています。また、6月の米卸売在庫も前月比1.1%増となり市場予想を上回りました。米卸売売上高も前月比2.0%増となり市場予想を上回っています。さらに6月の米消費者信用残高も前月比376億9000万ドル増となり市場予想を上回りました。
3.業種別動向
先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち一般消費財・サービスや不動産、情報技術などの7業種が下げました、一方で4業種が上げ、金融が2%高となったほか、素材も1%を超える上昇となっています。
昨日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや不動産、資本財・サービスなどの7業種が下げ、エネルギーは1%を超える下落となりました。一方でヘルスケアや生活必需品などの4業種が上げています。
4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では長期金利の上昇を受けてゴールドマン・サックス(GS)が3%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったほか、JPモルガン・チェース(JPM)も3%近く上げダウ平均構成銘柄でゴールドマン・サックスに次ぐ上昇率となりました。一方でアムジェン(AMGN)が1%を超える下落となりダウ平均構成銘柄で下落率トップとなっています。また、ダウ平均構成銘柄以外では、口コミ情報サイトのイェルプ(YELP)が決算で最終損益が市場予想に反して黒字となったことで5%以上上げています。
昨日の米国市場では電気自動車のテスラ(TSLA)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて2%以上上げました。食肉大手のタイソン・フーズ(TSN)も決算が市場予想を上回る増収増益となったことで8%を超える上昇となりました。また、新型コロナウイルスワクチンの正式承認への期待が高まったことでバイオ製薬のモデルナ(MRNA)が急伸し17%余り上げています。暗号資産交換業者のコインベース・グローバル(COIN)も10日発表予定の決算への期待から8%以上上げています。一方で外食のダーデン・レストランツ(DRI)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて4%以上下落しています。
5.為替・金利等
先週末の長期金利は0.08%高い1.30%となりました。昨日の長期金利は0.02%高い1.32%となっています。ドル円は110円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場でダウ平均が先週末と昨日の2日間トータルで小幅ながら上昇となったことから堅調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が200日移動平均線(先週末時点で27,927円)を試すような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)