東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。日経平均は200円安の27,580円で寄り付くと取引開始から20分余りで56円安の27,724円まで持ち直しましたが、戻し切れないと下げ幅を広げ11時過ぎに288円安の27,492円まで下落し221円安の27,559円で前場を終えました。

195円安の27,585円でスタートした後場の日経平均は13時20分過ぎに242円安の27,538円まで下落した後14時30分に131円安の27,649円まで持ち直すと結局139円安の27,641円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

AGC(5201)が一時2.9%高となりました。上期決算を発表し国内建築用ガラスの値上げなどでガラス事業の採算が改善することなどから通期の営業利益の見通しを1600億円から1800億円に上方修正し市場予想も上回ったことで買いが優勢となりました。丸紅(8002)も4.2%高となりました。11時に決算を発表し商品価格の上昇によりチリの銅事業やオーストラリアの鉄鉱石事業が伸びたことなどから第1四半期の純利益が前年同期比92.9%増の1121億円となり四半期ベースで過去最高となったことで決算発表後に上げ幅を広げました。

また、13時30分に決算を発表した三井物産(8031)も6.6%高となりました。好調な商品市況を背景に金属資源事業やエネルギー事業の利益が増えることなどから通期の純利益の見通しを4600億円から6400億円に引き上げたうえ、500億円を上限とした自社株買いを発表したことで決算発表直後に一段高となりました。ジャスダック市場ではリチウムイオン電池材料を手掛ける田中化学研究所(4080)が16.8%上昇しストップ高となりました。リチウムイオン電池向け材料などが好調で前期に赤字だった第1四半期の営業損益が黒字に転じたことで買いを集めました。

一方で大塚商会(4768)が6.1%安となりました。上期決算を発表し企業のIT投資需要が堅調に推移していることなどから通期の営業利益の見通しを581億円から593億円に引き上げましたが市場予想に届かなかったことで大幅安となりました。塩野義製薬(4507)も3.0%安となりました。新型コロナウイルスの治療薬やワクチンなどの研究開発費が増加したことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で34.2%減と大幅な減益となったことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は139円安となりました。昨日の米国市場でダウ平均が続落となったことや昨日に日経平均が500円近く上げた反動もあって売りが優勢となり、一時下げ幅を300円近くまで広げ節目の27,500円を割り込む場面もありました。しかし、27,500円をわずかに下回ったところで下げ渋ると27,500円を上回って取引を終えています。27,500円近辺で底堅さをみせたことで明日以降の切り返しに期待したいところですが、買いが優勢となった場合には先週木曜日と昨日に超えることができなかった200日移動平均線(27,865円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後には日本製鉄(5401)やダイキン工業(6367)などが決算を発表する予定です。また、明日は後場の取引時間中にトヨタ(7203)が決算を発表するほか、引け後にはソニーグループ(6758)やホンダ(7267)などが決算を発表する予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)